【ずあきの子供とアーサー】
北の国を訪れたのはいったいいつぶりだろうか。
アーサーはそのひんやりとした空気に身震いしながら雪の草原に降り立った。目の前に広がる大きな城。そちらに一歩踏み出せば、固く閉ざされた城門がゆっくりと人知れず開いていく。まるでアーサーを迎え入れるかのような動きで、アーサーはそれを嬉しく思いながら足を進めた。
アーサーは迷うことなく城の中へと入っていく。大広間がある方から人の気配と暖かな空気が流れてくる。きっとこちらだ、とアーサーは小走りでかけていく。
「オズ様、お久しぶりでっ……!」
待ちきれずにそう声をかけながら大広間に顔を覗かせた瞬間、腰の辺りに衝撃を感じる。アーサーがそっと視線を落とせば、そこにはブラウンの髪を長く垂らした少年が瞳を輝かせながらアーサーを見上げていた。
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