酷暑に出す水は水じゃなくてほぼお湯 昼の1時を回った万事屋はとんでもない暑さに見舞われていた。蒸籠に入れられた饅頭ってこんな気持ちなのかなと、新八は額を伝う汗を拭いながら思った。テレビでは全国各地で熱中症に警戒するよう呼びかけられている。どうせそっちはクーラーの効いた空間からお届けしてるんだろ。こっちはクーラーを買う金もないから扇風機1台でやり過ごさなくてはならないというのに。八つ当たりしたい気持ちが膨れ上がってテレビを消した。とにかく水分だけでも取ろうと、新八は腰を上げようとした。
「ーーーーー!もう我慢出来ねぇ!」
突然向かいのソファで寝そべっていた銀時が吠えた。何だどうしたと不審な眼差しを向ければ、銀時がガバリと起き上がってずんずんと新八の元に歩いてきた。見下ろしてくる目は据わっていて、新八は何だか嫌な予感がした。
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