不足 怒涛の敵からの攻撃と周囲に倒れている仲間達の亡骸に、ルガディンは自嘲に近い笑みを浮かべた。攻撃範囲を避けながら詠唱時間を省略し、味方の白魔道士に蘇生を投げる。それだけで体内の魔力もエーテルも枯渇してしまった。それまでのダメージを緩和するためのバリアで魔力を費やしてしまった結果ではあるが、自身の不甲斐なさに奥歯を噛み締めた。愚痴も泣き言も漏らすつもりはないが何はともあれ立て直していく必要がある。敵の攻撃が緩んだ瞬間を見計らい白魔道士が起き上がるのを視界の端で確認しながら、敵からエーテルを少量拝借する。すかさず拝借したエーテルを体内で変換し、白魔道士へと受け渡す。慌てたように詠唱していた白魔道士が少し落ち着き、他者の蘇生へと行動を移した。
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