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    tomato🍅

    Orijinal▼うちよそ創作BLとTRPG(CoC)

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    AI先生:出会い小話

    ##AI文

    リョカズの出会い小話昔から父親が嫌いだった。
    小学生の頃から、父親に暴力を振るわれていた。助けてくれる人なんていない。母親は小さい時に他界した。
    リョウは独りで生きてきた。高校も奨学金で通っている。バイトをして学費を払わないといけない。生活費だって必要だ。
    だから学校が終わったらすぐに働くようにしていた。
    学校に行ってバイトをして鬱憤を喧嘩で払して寝る、その繰り返しだ。生きているのか死んでいるのか分からない、何も色のない世界。

    (何も楽しくねえ、なんで生きてんのかわかんねえな、俺)

    そんなある日、バイトに向かう途中リョウを変える出来事が起きた。
    いつものように裏路地を通ると不良たちが1人の少年を囲んでいたのだ。

    (めんどくせえとこに立ち会っちまった)

    喧嘩を吹っ掛けられて、バイトの時間に遅れるわけにはいかない。そう考えながら足を止めずに通り過ぎようとした時、囲まれている少年が目に入った。
    艶のある黒髪、色白で華奢な体つきをしている。作り物の人形のように、かなり整った顔立ちだ。そして青く光っているように見える瞳からは強い意志を感じた。ボロボロになって地面に倒れ伏している。
    その姿を見た瞬間、頭の中で何かが弾けたような気がして、気が付いた時には不良たちを殴り飛ばしていた。周りを見ると血だらけで倒れて動かなくなっている男たちがいた。

    「おい、こんな暗いとこ通るなよ。狙われるの分かんねえのか?」
    「ん……」

    返事をする少年をよく見ると、同じ制服を着ていた。

    「なんだ、同じ学校かよ。お前、名前は?」
    「……藤宮、和希」

    聞いた事ある名前だった。確か由緒ある家系の奴だとか。金持ちのお坊ちゃま。しかも毎度学年トップ10に入る成績をおさめていて教師からも評判が良いらしい。
    ツン、とした雰囲気で近寄り難いイメージがある、とよく女子がキャーキャー話していたものだ。まあ興味もなかったので詳しくは知らない。
    だがいま和希の目の前にいるリョウは、不思議と目が離せなくなっていた。青い目に吸い込まれそうになる。まるで、綺麗な宙の宝石みたいだと思った。もっと見ていたいという気持ちになった。思わず見惚れてしまったことにハッとして、誤魔化すために口を開く。
    「立てるか?怪我してんだろ?」
    「……慣れてる」
    和希が立ち上がろうとした時、少しふらついた。それを見逃さなかったリョウはすぐに肩を貸した。頬っておけない。

    「送ってやる、家どこだよ」
    「いい、ほっとけよ」
    「うるせー、さっきまで死にそうな顔してたくせに遠慮するんじゃねーよ。俺がそうしたいだけだから気にすんな」
    「……家、帰りたくねえんだよ…」

    ボソッと呟かれた言葉を聞いてしまった。下を向いたままの和希の表情は見えないが、その声色は切実さを物語っていた。
    (コイツ、俺と一緒だ)
    今まで感じたことの無い感情が沸き上がる。胸の奥が熱くなる感覚を覚えた。
    初めて自分以外の人間に興味を抱いた。

    「…うち来るか?」
    「……え?」
    「帰りたくねえんだろ?うち来るか、って聞いてんの。早くその怪我どうにかしねえと、どんどん悪化するぞ」

    そんなこと言われるとは思っていなかったらしく和希は目を丸くしていたが、数秒後にコクっと小さく首を縦に振った。



    「お前、手当て上手いな」

    包帯を巻くのを手伝ってやろうとして、和希は渡した救急セットで1人で治療を済ませてしまった。
    「…医者の家系だからな。一応、応急処置のやり方も教わってきた。こういう時の為に」

    いくら慣れていると言ってもここまでできるもんなのか、と思ってリョウは感心した。
    眺めていると、和希はリョウを見つめてきた。どうしたのかと思いながら視線を合わせていると、不意に和希の顔が近づいた。

    和希の整いすぎた美しい目鼻立ちの顔が目の前にきた。男だと分かっているのに、その艶めかしさに心臓が高鳴った。

    「…お前も頬、怪我してんじゃん」
    「あ?ああ…唾つけときゃ治るだろ」

    リョウは頬をさする。左頬に擦り傷がついていた。先程の不良たちを殴った時に殴り返され、壁に打ち付けられた時に擦った傷だ。まだヒリヒリ痛むが特に支障はない。

    「バカ、じっとしてろ」

    和希は消毒液を染み込ませた脱脂綿を押し当ててくる。冷たくて一瞬びくつく。そして軽く押さえるように拭かれ、その後ガーゼを貼られテープで固定された。手際が良く、痛みを感じさせない優しい手当てだ。リョウには、今までこんな風に手当てをしてくれる人はいなかった。
    (なんか、変な感じだな……)
    そう思って自分の頬に触れながら、横目で隣にいる和希を見た。彼はずっと無言で、黙々と救急セットを片付けている。
    「……サンキュ」
    とりあえず礼を言うと、チラッとこっちを見た。それから再び顔を背けると、ぶっきらぼうな声で答えた。
    「お互いさまだろ」

    この態度からして素直じゃねえ奴、と思った。だが今はそれが嬉しかった。ふと、和希が自分以外に優しくしないでほしい、なんてことを考えてしまう。それは独占欲にも似た気持ちだった。

    「なあ、腹減らねえ?俺、適当に作れっからなんか食っていけよ」

    気が付くと無意識のうちに和希を引き留めるような言葉が出ていた。
    和希は少し悩むような素振りを見せたあと、ぐう、と音が聞こえる。どうやら彼のお腹の音だったようだ。その音を聞かれたと分かった瞬間、恥ずかしそうにそっぽを向く和希。

    (なんだ、可愛いじゃん)

    「ほら、遠慮すんなって、材料的にチャーハンなら作れっかな。そこ座っとけ。」

    リョウは立ち上がり、台所へ向かい冷蔵庫の中を見ながら考えた。和希は渋々座布団に座って大人しく待っている。料理を作っている間、ずっと見られていて、なんだか妙な気分になった。
    チャチャッと作ったチャーハンを2人分、テーブルに置く。和希はいただきます、と律儀に手を合わせてから食べ始める。その様子を見て、本当に育ちが良いんだな、と感じた。
    小さい口にスプーンが運ばれ、もくもくと噛む。小動物みたいだ。

    「…うまい」
    一口食べるとすぐに口を開く。美味しいものは美味しいと正直に言えるタイプらしい。パクパクとよく食べている。そんなところも気に入った。

    「お前、いつも自分で飯作るのか?」
    「んー、昔から1人で作ってたからかな」

    和希は黙々とスプーンを動かして口に運んでいる。その様子から、リョウの作ったご飯を相当気に入ったことが分かった。

    「…なんか、そんな美味そうに食ってくれると作りがいあるわ」
    「………美味いと思う。俺の家、料理人が作る料理とか自然思考の無添加ものばっかりだから、こういう家庭的な味の飯なかなか食えねえし」
    「へえ、いい家じゃん」
    「全然良くねえ、クソみてえな環境だろ」

    そう忌々しげに吐き捨てるように言った和希の顔は悲しげだった。
    やはり自分と同じく、家の環境に嫌気がさしているのだろう。真逆ではあるが同じ人間だと実感する。
    (やっぱこいつ、面白いな……)
    だからこそ新鮮で、より一層惹かれた。もっと色んな表情を見てみたい、そう思った。

    「…作ってやろっか」
    「は?なにを…」
    「夕飯に、お前の食いてえモン作って食わせてやるよ。別に金取るわけでもねえし」
    そう言い放つリョウに和希は何言ってんだコイツという顔を向けたが、やがて小さく呟いた。

    「……カレー食いてえ」
    「……え?カレー?」
    「家庭のカレーみたいなの…よくテレビのCMでやってるやつ」

    上品な顔した和希から意外な単語が出てきたことに驚いた。だが、よく考えれば和希がお坊ちゃんだということを思い出す。金持ちの家庭で育てられてきたのだ、普通の家庭料理とはかけ離れた味だったのだろう。

    「いいぜ、夜はカレーな」
    「…何が見返りなんだよ」
    「金取らねえって言ったろ。俺がただお前に食わせてえだけだ、気にすんな」

    今日のバイトはもう休むと連絡を入れてしまった。このまま暇だし、和希のことをもっと知りたい。

    そうして和希の好物は、リョウの作るカレーになるのであった。


    リョウが怪我をしているのを見つければ和希が治療をしてやり、その度にリョウは家で夕飯を食べていくよう誘った。

    「また怪我してんのかよ…ほっといたら悪化するだけだぞ。貸せ。…ったく、喧嘩しか脳にねえのかよ」

    リョウは大人しく和希の言うことを聞き、手当てを受ける。そうやって和希と一緒に過ごす日々が増えていけばいくほど、和希は段々と心を開いてくれるようになり、今ではこんな軽口を叩かれるまでになった。目を細め、マスクの下では微笑んでるのが分かる。

    手当てをする和希をじっと見つめた。彼は視線に気付いたようでこちらを見上げ、目が合うと、なんともないような顔をしながらも、少しだけ頬を赤らめた。
    こいつ可愛い、なんて思っているうちに頭を小突かれた。

    「和希はさあ、やっぱ将来医者になるの?」
    「……分かんねえ、親の敷いたレールの上走るだけじゃつまんねえとは思うけど…。まあ嫌いじゃねえと思う」

    ふーん、と言って和希の顔を見る。整った顔に、長いまつ毛。こいつの両親ってどんなやつなんだろうか、なんて疑問が湧く。和希のことをどう思っているのだろう。

    「俺は和希が医者になるの合ってると思うぜ。手際いいし、上手ぇじゃん。」

    そう言って、にっ、と笑う。和希が一瞬、目を見開いたように見えた。それから少し照れたように顔を背けた。そしてぶっきらぼうに言い放つ。

    「適当なこと言うなよ……」
    「適当じゃねえよ!俺が毎回怪我して、お前のとこしか行かない時点で察せよな」
    「……!」

    和希は驚いたように目を見開く。そしてすぐに目を逸らされた。
    和希もこんなに感謝されたのは初めてだった。自分が今まで叩き込んできた知識と経験が間違っていなかったと肯定されて、心の中で嬉しく思えた。同時に、胸が高鳴ったことも自覚する。
    (なんだろ、なんでこんなにリョウに言われると嬉しいんだ…)

    「親の病院継がねえで、お前が好きに開業すれば?」
    「いくらかかると思ってんだ?そもそも親が許さねえよ」
    「いいじゃん、家出すれば?闇医者とかやってれば金貯まるだろ?」
    「ダメだろ、それ…」

    和希は笑う。最近よく笑うようになったと思う。
    自分のこの感情が一体何なのか分からないまま、二人の関係は高校三年生になるまで続くのであった。
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