リプした物を使ってシンキラを書く。の、タグのやつ ミレニアムがプラントへ帰港中のことだった。休暇中のキラが、柄の悪い男たちに絡まれていたジェミーとアビーを庇って、代わりに自分がと男たちに連れて行かれたと聞いたシンは、コノエの制止も聞かずにミレニアムを飛び出していた。
「あの人、生身での戦闘なんてからっきしのくせに……!」
男たちにホテルへ連れ込まれたキラは、三人の男に囲まれてベッドへとその身体を投げ出されていた。両手を頭上で拘束されており、男の一人がその手を押さえつけている。
「随分と綺麗な顔をしてるな、あんた」
キラは元より、ジェミーたちも休暇中であり私服だった。キラが「その人たちを離してください」と言った際にジェミーが「准将」と呼んでいたが、彼らはキラの容姿からキラが軍人であるという可能性を除外しており、キラがそれなりに名の知れた者であることは悟られていない。
男の一人がキラの服に手をかけて、醜悪に笑う。
「あの可愛い子たちを逃がしたのは残念だったが、あんたでも充分に楽しめそうだ。こんなにお綺麗な顔をしたやつは久しぶり……」
そこまで言って、男の手が止まった。他の男二人が不思議そうに、キラの服を暴いた男の視線を追う。そして、その二人もやはり言葉を失った。
「……ははっ、こいつは……」
キラは男たちに何を見られているのか分かっているので、かぁっと赤面して顔を背けていた。男たちに薄い胸板を晒しているキラの胸には、二か所に絆創膏が貼られている。胸の小さな突起を隠すために貼付されているそれは、性的な事柄とは縁のなさそうな美少女顔の青年とは絶妙に合致しない。
「あ、あの……恥ずかしいので、あんまり見ないでください……」
耳まで真っ赤になったキラがそう言えば、それは男たちを煽るも同然だった。
「へぇ? 可愛い顔して、やることはやってるって事か」
「しかも、乳首大好きって?」
「どんな彼女なんだろうなぁ? それとも、この顔だし彼氏か?」
「そうだよ」
男たちの会話に、低く重い声が混じる。男たちが一斉に背後を振り向けば、無残に破壊された部屋の扉と、血のように赤い瞳を血走らせたシンがそこには立っていた。
「てめっ……」
拳を繰り出した男のそれを軽々と避けたシンは、男のみぞおちに蹴りを入れる。一人の男を蹴り飛ばした後で、もう一人の男への距離を一瞬で詰めたシンは、後ろ回し蹴りで男のこめかみに思い切り踵を入れる。
「このガキが!」
三人目の男は拳銃を取り出したが、完全にキレているシンがそんなもので怯むはずも無く、男の目の前で体勢を低くしたシンは銃を持つ男の手を蹴り上げてから、男の眉間に肘で強烈な一撃を叩き込む。
一瞬で三人の暴漢を片付けたシンは、呆然とベッドの上でそれを見ていたキラに近付いた。
「……俺、怒ってますからね、キラさん」
キラの両手首を縛っている縄を解きながら、シンが言う。キラは気まずそうに視線を逸らす。
「だって、あの子たちが連れて行かれそうだったから、守らないとって思って……」
キラがそう言えば、シンはぎりっと歯を鳴らして息を吸う。
「あんたは俺に守られてたらいいんだ! MSが無い時に、無茶なことするなよ!」
「シン……」
「……あぁ、くそっ……。酷い事される前で良かった……」
シンはくしゃりと自身の髪に手を突っ込んで握りしめる。キラはシンが自由にしてくれた両腕で、そんなシンを抱きしめた。
「……ごめんね。来てくれて、ありがとう」
キラをミレニアムに連れて帰るも、向かうはシンの士官室で。
「あの、シン?」
「少しくらいお仕置きした方が、キラさんちゃんと反省しますよね?」
「ひぇ……」
シンが本気で怒ってるー!
笑顔である事が逆に怖い。キラは一瞬、どう逃げようかと考え始めるが。
「まずは、あいつらに触られた服を脱ぎましょうか?」
「……はい」
逃げられるはずも無かった。
キラはシャワー室へと連れ込まれて、全身を綺麗に洗われる。勿論、昨晩弄り倒された為にひりひりして痛いからと貼った乳首の絆創膏は剥いだ。
「これで良し」
「良し。じゃないでしょ」
ぴっかぴかに磨かれたキラに渡された服は、キラがいつも着ているコンパスの制服ではあるのだが、何故か上着のみである。下着すら無く、下がスースーして肌寒い。
「パンツとズボンも欲しいんですけど?」
「駄目です。まだお仕置き済んで無いんで」
シンはキラを自分のベッドにぽいっと放ると、キラの太腿を持ってがばっと開く。
「んきゃ!?」
「可愛い声を出さないでください。キラさん、明日は総裁たちとピクニックなんでしょう? 何もしませんよ」
「この恰好で!?」
「アスランやジュール中佐もいるって聞いたので、一応俺のって言う印を付けておきますね」
「ちょっ、ぁ、んんっ」
足の付け根にちくりとした痛みを感じ、キラはびくりと肢体を跳ねさせた。
「ん。ちゃんと付いた」
キラの肌に自身が付けた鬱血痕を撫でて、シンは満足そうに呟く。
「キラさん、お尻こっちに向けて」
「お尻……?」
「そう。お尻にも付けるから」
「誰かが見るところじゃない所にばっかり、キスマーク付けるね!?」
「そうですよ? 見たら殺すって思ってるところに付けてるんです」
「怖いこと言わないで……」
ころりとうつ伏せにされて、それから腰に手を回されて臀部を持ち上げられた。思い切りシンの眼前に尻を突き出す体勢に、キラは顔を赤らめる。
「コンパスの制服って、前と後ろが短いから色々としやすくていいですよね」
「普通は上着だけ着ることなんてしないんだけどね」
キラが言うと、シンの唇がキラの桃のようなお尻に落ちる。
「ひゃんっ!」
ちゅ、ちゅ、とわざとリップ音を響かせて、シンはキラのお尻に何度もキスをした。くすぐったさにキラはぶるりと身体を震わせて、首を振り向かせる。
「……シン……もう……」
「あれー? キラさん、どうしてちんちん勃てちゃってるんです?」
ニヤニヤと笑うシンを、キラは涙目で睨みつけた。シンの言う通り、絶妙な加減でいじられた為、その愛撫でキラの陰茎は頭を擡げ始めている。
「だ、誰のせいだと……」
「俺ですね、すみません」
「昨日もあんなにしたのにぃ……」
「だから今日はしないですよ。一回だけイッておきましょうか」
悔しそうなキラを微笑して宥め、シンはそっとキラのキラに手を伸ばすのだった。
「キラさん、今度からこれ、出掛ける時には着けていってくださいね」
次の日、出掛ける準備をしていたキラの首に手を回し、シンはキラの細い首に小さなクロスが揺れる黒いチョーカーを着けた。
「ん、可愛い」
シンは満足そうに微笑む。
「これって……」
キラはチョーカーに触れる。そして、真顔になる。
「何の機能付いてるの?」
「GPSとカメラと盗聴器です」
シンはきっぱりと隠さずに言う。キラははぁっと溜め息を吐いた。
「心配し過ぎじゃない?」
「キラさん、そのくらい厳重な首輪を着けておかないと、すぐにどこかに行っちゃうでしょ?」
「首輪って」
「だってほら」
シンはキラの手を自分の首へと引き寄せる。
「キラさんは俺に首輪をつけてるんだから、おあいこでしょ?」
シンはそう言って、悪戯っぽく「わん」と鳴いて舌を出す。キラは呆れた息を吐きながら目を閉じて、
「そうだね。僕の可愛い番犬さん」
と呟いた。