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    minatonosakana

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    minatonosakana

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    成長シンに夢を見てるって言うやつ書いた

    番犬であり、騎士であるシンの落書き アコードと名乗る者たちがレクイエムで地球の一部を焼いた事件からおよそ三年。ミレニアムが寄港するとの情報がオーブで報道された。すると、そのミレニアムを迎えようと、港には沢山のオーブ国民が集まって来る。
     何度もオーブの危機を救ったオーブの代表首長の双子のきょうだい、キラ・ヤマトを筆頭に、世界平和監視機構コンパスのMS部隊『ヤマト隊』はオーブ国民の中で人気アイドルグループのような存在でもあった。
     ミレニアムのタラップから、まずはルナマリアとアグネスが下りて来る。野太い声の「ルナマリア―!」「アグネスー!」が飛ぶ中で、時々「ルナ様ー!」と若い女性の声が混じっていた。その声が聞こえた方向に視線を向けてルナマリアがふっと笑えば、その声の主である少女は瞳をハートにして座り込んでしまう。
    「……やるじゃない、ルナ様?」
     アグネスが口の端を上げてルナマリアへと囁くと、ルナマリアはアグネスの方を見ずに「可愛い子にはファンサしなきゃ」と返答する。アグネスは「それもそうね」と呟いてから、野太い声のする方向へウインクをした。そちらからは、雑巾を絞るような若干重苦しい悲鳴が聞こえていた。
     そして、その後に下りてくるのは近年、ヤマト隊の中で最も昇進したシンだった。先日二十歳を迎え、少年から青年へとなった彼の成長は著しく、身長は180cm程に伸び、可愛らしいとも言われていた顔立ちはすっかり端正になった。
     三年間伸ばした襟足を細く項で結い、軍刀とリボルバー式の拳銃を携え、常にヤマト隊長の傍に控える中佐となったシンは、ファン達からは『騎士(ナイト)』とも呼ばれている。
    「キラさん、手を」
     先にタラップを下りたシンは、後に続いたキラに手を差し伸べる。まるでどこかのお嬢様をエスコートするかのような仕草を、シンは息をするように行う。最初はそれに照れていたキラだったが、今ではすっかり慣れてしまっており、その手を取ると穏やかな微笑みを浮かべてゆっくりとタラップを下りてくる。
     シンが姿を現しただけでも、黄色い悲鳴が上がっていたのだが、キラをエスコートする様子には更に甲高い悲鳴が混じり、完全に二人は国民的スターである。
    「ありがと、シン」
    「いえ」
    「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
     礼を口にするキラと、その手を取ったまま恭しく一礼をするシンの姿に、国民たちは阿鼻叫喚である。
     しかしながら、人気があると言うことは、反感を抱く者もいるのが事実であり、キラの手を取っていたシンは向けられた殺気に即座に気付き、軍刀をすらりと抜きながら背後にキラを庇う。
     その直後、ヤマト隊ファンの合間を縫って駆けて来る、黒づくめの怪しい者たち。頭巾を被り、見えるのは目元のみ。とある国では『忍び』とも呼ばれる隠密に長けた暗殺者集団のような彼らが、キラとシンを取り囲んでいた。決して警備が手薄な訳では無い。警備を任されているオーブ軍は追って来ている。しかし、彼らが素早過ぎるのだ。
    「ここから動かないでね、キラさん」
    「シン、でも……」
    「動かれる方がメーワクだから」
    「むぅ……」
     小声でそんなやり取りをした後で、シンは自分らを囲んでいる刺客たちへと視線を戻した。そして、じり……と片足を下げた後で、地面を強く蹴って最も近くにいた刺客の両太腿を横一線に斬りつける。
    「なっ……!」
    「速いっ……! 流石は番犬!」
     足が動かなければキラには近付けない。キラの傍には既にルナマリアとアグネスが向かっているので、シンは敵の殲滅を優先させた。
     太腿から血を流しながら地面に膝をついた男の肩へと乗ったシンは、とんっと跳びながら空中で腰に下げていた銃を左手に取り出して撃鉄を起こす。片目を閉じて標的を見定めると、「バンッ」と呟いて刺客の一人の右肩を撃ち抜いた。左手に銃を持ったまま、右手で握った軍刀で着地点にいた男を袈裟懸けに斬り上げてから、その男の腹部を足の裏で蹴り飛ばす。続けて体勢を低くして駆けたシンは、キラに近付こうとした刺客の右手を狙って発砲し、刺客の手の甲をその弾は貫通した。
     シンが踊るように敵を翻弄する度に、尻尾のような髪がひらりと靡く。
    「あと二人」
     キラの目の前に立っていたルナマリアは小さく呟き、手から血を流すその刺客へ近付くと、彼の頭部に踵落としを食らわせる。
     刺客の一人が、シンへ向かって発砲する。シンは軍刀でその弾を弾くと、お返しとばかりに刺客が自分へ向けている銃口へと狙いを定める。小さな標的へと狙いを定めると、シンの瞳の奥でSEEDが割れる。シンがトリガーを引くと、弾丸は吸い込まれるように刺客の銃口へと入っていき、刺客の手の内で銃は爆発する。
    「あと一人♡」
     アグネスが呟き、右肩を撃ち抜かれていた刺客の顎を思い切り蹴り上げた。
     銃の爆発で体勢を崩した刺客へと軍刀を投げつけたシンは、軍刀が刺客の太腿を貫く様子を見ずに踵を返し、残る一人の元へと距離を詰める。シンの圧倒的な強さと素早さにびくっと肩を上げたその男の側頭部に銃のグリップを叩きつけると、宙で身を翻して後ろ回し蹴りを男の腰部へと放った。
    「がっ、は……!」
     口から血の混じった唾液を吐き出しながら、最後の刺客も気を失って地面へと転がった。
     あっという間に全ての刺客を戦闘不能に追い込んだシンが、刺客の太腿から軍刀を引き抜いて刀身に纏わりついている血を払うと、その直後にシンの立ち回りを見守っていた国民たちから歓声が上がった。
    「ぎゃぁぁぁぁ! アスカ中佐、格好良過ぎぃぃぃ!」
    「さっすがナイト様! 私も守られたーい!」
    「よくやったぞ、シン! 今日もヤマト隊長はお前のお陰で無事だ!」
    「ルナマリアとアグネスも、一撃が重いぞ、こらぁ!」
     指笛の音なども混じった歓声に、ルナマリアとアグネスはやれやれと言うように肩を竦めて、刺客たちを縛り上げるオーブ軍を手伝った。全員が致命傷を避けられているが、すぐには動くことが出来ない程度の傷を負わされており、シンはそれをしっかり狙って行っている。その事に驚いているオーブ軍人もいたが、ルナマリアたちにとってはいつもの事である。
     シンは心配そうな視線を向けて来ているキラの元へ戻ると、キラの髪にそっと手を触れる。
    「キラさん、怪我はない?」
     シンがそう言うと、キラは少しだけ眉を寄せた。
    「それ、僕の台詞じゃない? 相変わらず、一人で無茶な特攻して」
    「昔、よくライジングフリーダムでそれをやってたキラさんに言われたくないよ」
     シンがにっと歯を見せて笑顔を見せて、それからキラの髪を一束掬い、手の平に持つ。
    「まぁ、今は俺があんたを守るからいいけどさ」
     そう言ったシンは、手にしていたキラの髪にそっと口付けた。

     直後、今日一番の歓声と悲鳴が、周囲のオーブ国民から上がっていた。
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