至高の楽園③三日目
今日は四人での活動はなく、ジュンは茨の仕事の手伝いとして駆り出されていた。普段は自分の仕事だけで精いっぱいで、茨の立ち回りや仕事への姿勢をじっくり眺める機会がなかったから、いい経験になった。
「茨って、色々考えて仕事してんですねぇ~」
「は?なんですか、藪から棒に」
帰りの車中。忙しなくパソコンやスマートフォンを操作している茨が、ジュンの一言で画面から顔を上げる。心の声が思い切り口に出ていたことに気づいたジュンが一瞬焦ったような素振りを見せたが、茨が言葉の真意を説明するように視線で促すと、申し訳なさそうに人差し指で頬を掻く。
「なんつうかさ……今日の茨の立ち回りとか、共演者はもちろん、スタッフにも気を遣ってる姿を見てると、オレももっと頑張んなきゃなって思って」
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