やすひら出会い(一目惚れ編)アカギの偽物を立てて一儲けしてやろう。
そう思いついてから半年ほど経ったある日。
「白髪で目鼻立のいい青年を探して欲しい」と頼んでいたその筋の人間から連絡があった。
難しい依頼だったが随分と早く見つけられたものだと驚いたが、差し出された写真を見て更に驚いた。
写真に映るその男は、予想を上回る美しい顔立ちだった。
依頼通り、髪は真っ白だ。
髪型や服装は違うが、まさか本物なのではと期待を抱いたほどだ。
早速本人にコンタクトを取り、喫茶店で待ち合わせた。
自分は予定より少し早めに到着し、奥の席でタバコをふかす。
夕暮れ時、そこそこ賑わっていた店内は、その男の来店により一瞬で静まり返り、一拍置いてざわつきはじめた。
入り口に目を向けると、写真で見た通りの青年が白のピンストライプスーツに身を包み、白銀の髪はオールバックに決めて颯爽とこちらへ歩いてくるのが見えた。
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