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    瑠璃色の花壇

    鏡櫻璃來(@rira_Rora)の花壇です。
    僕好みのお花(作品)たちが見れます。

    再度作り直しました。

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    瑠璃色の花壇

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    ボル作SS

    2回に分け更新していました。
    完結済。

    〜更新日〜
    ①7/29
    ②8/8

    数千年前から貴方をー
    「暗くなっちゃった……提灯の明かり持つかなぁ…………」

    人間の声がする。こんな夜も深け、野生動物が活発になっていく中、まだ出歩いている者もいるのか。

    「ん……何かいる……」

    こちらに気づいた人間は近寄ってくる。
    段々灯りが大きくなり、眩しくて目を閉じてしまいそうになった。

    「あ、亀……。どうしてこんな陸地に」

    人間が首を傾げる。そりゃそうだ。海でも浜辺でもない山付近で亀を見つけたのだから。

    「怪我してるのか……。よしよし、手当してあげようね。でもここじゃ出来ないから一旦家まで連れて帰ってもいいかなぁ明日の朝、必ず海に返すって約束するからさ」

    そう言い人間は怖がることなく手を差し伸べてくる。

    『なんと愚かなお人好しだ。

    人間に助けなど求めない。

    死ぬならそれまでだ。

    差し出したその手、噛みちぎってやろう。』

    そう思い人間の手を少し噛んだ時だった。
    人間から、ソレを感じ取った。

    『どういうことだ

    この人間のことなど知らないはず。

    ありえない。

    初めて会った。

    でも………………』


    『己の匂いを間違えるものか』


    目の前にいる人間から自分と全く同じ匂いがした。亀を食した人間の匂いではない。
    自分が、意図的に、付けた。
    そう感じる匂いだった。

    「あっ逃げちゃった……」

    怪我をし、海から離れ、弱っていたのにソレに気づくとたちまち元気になった。
    あの人間が亀へと生まれ変わってくるのか、はたまた自分が人間になるのか。それともあの人間と一緒に別の種族になるのか。
    それでもあの時感じとったもの。
    ソレを胸に自分は生きて行くことにした。




    あれからどれだけの歳月が経っただろうか。
    ずっと永く、亀のまま生きていた。
    ある日人間のように二足歩行が出来るようになった。
    手で繊細なものを扱えるようにもなった。
    人語も話せるようになった。
    図体ばかりが大きくなり、亀でも人間でもない中途半端な存在になった。
    人間には「妖怪」と恐れられ、亀には「仲間ではない」と告げられ、遂に独りになった。
    何年も、何百年も、海を彷徨い、海の中も陸も空にも目を向けあの人間を探した。
    だけどいなかった。
    何処にもいなかった。
    もしかして、あの時、あのままあの人間に拾われ、あの人間の元で生きているのが正しかったのかもしれないと思うようにもなった。

    「ボルトどうしたのぼうっとしてさ」
    「考え事まんねん」
    「そっかぁ。悩みなら言ってねボクら聞くよ」
    「……ありがとう」

    いつだったか。竜宮町という町にたどり着いた俺は、浜辺でこの先どう生きるかを考えていたらスウィーツ達に出会い、ロボのノキオや、おむすびのむすびを見て「ここなら受け入れてもらえるかもしれない」と久しぶりに陸に上がった。
    己を「ボルト」と名乗り、「まんねん」という語尾を付け、亀が出る名作に憧れているというキャラクターを作った。年齢はスウィーツ達に合わせた。
    竜宮小の生徒になって早5年。俺はいつまで生きるのだろうか…

    「今日は皆さんに転校生を紹介します」

    先生がそう言う。俺は興味がなく一応顔だけは見てやろうとぼうっと前を向いていた。

    が、

    入ってきた人間を見て俺は心臓が飛び上がるのを感じた。
    教室へ入って来たのは、紛れもないあの時の人間。
    やっと逢えた。
    やっと見つけた。
    絶対に自分のモノにする。
    そう心に誓った。



    そこからまた5年ほどが経った。
    あの時の人間は、今は俺の腕の中にいる。
    どこか安心した表情ですやすやと可愛らしい寝息を立てている。
    人間……いや、名作は元々友達だった。
    でも俺が猛アタックして、数年かけて、何とか振り向いてもらったのだ。
    名作は俺の大事な恋人で、番ではない。
    名作は無防備な様子で俺の前にいるのに、中々手を出させてくれないのだ。

    「ぼるとぉ……」
    「んなんだ」
    「おはよぉ……」
    「おはようまんねん。いい夢見れたか」
    「ん〜うん……まぁね。ボルトがそばにいるのに悪い夢なんかみないよ」

    眠そうな目を擦って欠伸をしながら名作は答える。

    「あ、でも……今日のは不思議な夢だったなぁ……」
    「不思議」
    「うん。なんかね、ボルトみたいに綺麗な緑の亀を山奥で拾う夢……まあ手を噛まれたところで起きたんだけど」

    名作はそう言いながら大きく伸びをする。
    俺は鼓動が早くなるのを感じながら、言葉を紡いで行った 。

    「なあ名作、」

    「俺がその夢に出てきた亀で、」

    「ずっとお前を探してて、」

    「何千年もお前を想ってて、」

    「番になりたくて仕方ない。って言ったらどうする」

    怖くて名作の顔は見れなかった。
    「そんな冗談を」と笑ってくれれば良かった。
    だけど、名作は、俺の頭を撫で「それだったらすごく素敵だね」と言い、

    「番になるのはあと2年我慢してね」

    と、笑いながら言った。
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