とある二人にとって特別な日の前後の日々の話 深夜二時。任務を終えてマンションに帰り、極力物音を立てないようにしながら浴室に向かい、シャワーを浴びる。汚れと疲れを軽く流して、バスローブを羽織り、一杯だけ寝酒を呑んだ。冷蔵庫の中には彼女が作ってくれた夕食が入っている。これは明日にしよう。グラスを洗い、歯を磨いて寝室へ入る。すやすやと眠っている彼女の隣に寝そべると、疲れが全身から溢れてくる。
隣のあどけない寝顔に頬を緩めていると、彼女が身じろぎをして、うっすらと目を開けた。
「んぅー……あ、おかえりなさい……」
「ただいま……」
トントンと赤ん坊を寝かしつけるように背中を叩くと、彼女はこちらに抱きついてくる。
「……ご飯、冷蔵庫にあるから、明日食べてね……私、明日早いからゆっくり寝ててね」
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