そのぬくもりに、癒されて side A 最近、天気予報を確認する癖がついた。
「おはようございます、愛之介様」
「……今日は」
「降水確率は六十パーセントです」
「昼食は購買で買うか、学食で食べる」
「かしこまりました」
起床してすぐ、カーテンの開けられた窓から見えた空模様を確認し、自分を起こしにきた青年に言葉少なに尋ねれば簡潔な返事が返ってくる。
ベッドから降りて身だしなみを整えながら思わず口元が緩むのを感じて、意識的に表情を繕う。
――今日も、会えるかもしれない。
それだけでこんなに胸が弾んで苦しくなるなんて、我ながら単純なものだ。
朝食に向かいながら、愛之介の意識は既に昼休みに飛んでいた。
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その生徒を見かけたのは、偶然だった。
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