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    秘みつ。

    @himi210

    @himi210 小説 / 毎日更新12:00〜21:00 / 凪茨右茨ジひジ▼感想質問お気軽に📩 http://bit.ly/3zs7fJw##ポイピクonly はpixiv未掲載ポイピク掲載のみの作品▼R18=18歳以下閲覧禁止▼##全年齢 for all ages▼連載一覧http://hi.mi210.com/ser▼連載後はpixivにまとめ掲載http://pixiv.me/mi2maru▼注意http://hi.mi210.com/guide▼フォロ限についてhttps://poipiku.com/19457/8988325.html

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    凪茨▼監禁陵辱の後助け出されPTSDに苦しむ茨

    ##凪茨

    茨が壊れてしまった4 ちゅうしゃ。きゅういん。のみぐすり。
     閣下は俺のためにいろんなお薬をくれた。その度にふわふわと現実が融解して、多幸感に包まれる。理由なんか忘れた。どうしてここにいるんだっけ。どうしてセックスしてるんだっけ。ああ、愛しているから。『愛する人』は閣下だから。
     昼も夜も溶けて、どれくらいの月日が経ったのかわからない。
     突然、閣下は連れて行かれた。俺は拘束されて、ここに連れられてきた。ベッド。窓の外には木々が連なって、ここが郊外なのだと俺に教えた。太陽が眩しすぎて、目が開けられない。
     幾日過ぎたのかわからなかった。助けを求めれば戒められ、なにかの薬を打たれる。閣下は助けに来ない。
     知らない人たちに囲まれて、虚脱していく体を抑え込まれる。ただ、閣下に、会いたかった。

     ***

    「かっかはどーこ? ……おれのかっか……、おくすりほしいよぉ……、ねえ、ちょーだい……?」
     俺のそばに誰かいた。それが誰だかわからない。そっと、俺の手の甲を、子猫にするみたいに指先で撫でる。それが懐かしくて、涙が出た。
     どうして?
     わからない。
     わからないことはいやだ。
     全部忘れたい。
     おくすり。
    「おくすりちょうだい、なんでもいいから、ねえ、いけないの、ちょうだい、ほしい、こわして、かっか、かっかよんで、俺たち、愛し合ってたの、どうして邪魔するの、たすけて、かっか、おくすりちょうだい、きもちいいの、ほしい、ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい、あ、あ、あ……っ!」
    「いばら、落ち着いて」
    「やだぁ……たすけて、閣下、どこ、あの部屋に戻して、愛されたい、閣下に、愛されたい……っ」
     その人は暴れる俺を押さえつけて、俺の顔を覗いた。
    「茨、ごめんね、助けてあげるからね」
     目を隠され、囁かれる。とくんとくんと心臓が鳴る音が聞こえた。
    「……『愛する人』は、誰?」
     そんなの決まっている。
     閣下。
     俺の閣下。
     そっと世界が開かれて、目の前に、閣下がいた。
    「かっか……」
     ぱちんと、何かが弾ける。楔を抜かれたように、動き出すのは記憶の船。
     あの部屋の閣下の顔が、どろどろと溶けていく。
    「……催眠を解いた。だから、もう大丈夫だよ、茨」
    「ちがう……こんなの……、だめ……そんな……なんで……」
     愛してる。おくすり。咥えて。ほしい。イく。閣下。かっか。もっと。気持ちいい。キス。家族。赤ちゃん。
     犯人の下卑た笑い。
    「み、ないで、みないで、みないで、みないで、あ、あ、あっ……! やだ、おれ、おれ、あ、……!」
    「茨、大丈夫、もう大丈夫だから」
     身体中を蹂躙されていた。犯人に。余すところなく。
     閣下だと認識していた男は、すべて犯人だった。
    「あああああ! やだ、やだぁ、こんなの、お、……っ! みないで、みないで、みないでぇ、……っ! かっか……」
     俺は泣いた。絶望に取り込まれて。
     ほんとうの閣下が、そっと、涙を拭ってくれる。
     それが、一縷のひかりのようだった。

     ***

     普通の生活には戻れなかった。
     人とすれ違う度に吐きそうになる、触れられそうになる度に体がこわばった。突然出る涙はコントロールできずに、体が勝手に蹲る。
     七種茨は休業になって、ひっそりと、郊外の部屋で生きた。
     閣下が、そばにいてくれた。
     二人で生活できるまで一年が経ち、二年が経った。
     暗闇で息ができなくなる俺のために、煌々と光る部屋を用意してくれる。
     希死念慮のために、部屋には監視カメラがつけられ、不測の事態が起きないように監視員が近くに配備された。閣下がいない時はその人たちが助けてくれる。
     俺は生きなければいけなかった。
    「ただいま」
     夕暮れの赤い空を見ていたら、閣下が仕事から帰ってきた。
    「……おかえりなさい……」
    「空、きれいだね。星も出てる」
    「……」
     俺は完全に無能になって、ただ生きているだけになっている。しにたいと泣く度に、閣下は、「私のために生きて」と願った。
     俺にそんな価値ないのに。
    「隣、座るね」
     閣下の匂い。気配。それを享受する。
    「……触っていい?」
    「……はい」
    「……ありがとう」
     そっと、俺の手の甲を、子猫にするみたいに指先で撫でて、閣下はわらった。
     二人の熱が混ざり合って、何かを形成していく。
     こわかった。
     俺には閣下しかなくて、でも、俺はもう閣下になにもあげられない。
     それでも、『愛する人』だった。
     涙が勝手に流れた。
     それに気がついて、閣下は俺の目を拭う。
    「かっか……」
    「……なあに、茨」
    「かっか……すてないで……おいてかないで……」
    「……捨てない。離さない。もう置いて行かないよ。私、茨と一緒に暮らせて、幸せだよ。だから、ずっと一緒にいようね」
     俺の顔を覗く閣下が欲しかった。
     キス。すき。愛してる。愛する人。
     触れるだけで体が震えた。ほんとうに望んでいるのに、あの日々の呪いが、全身をこわばらせる。
    「茨」
    「ひっ……!」
     陵辱される恐怖が体を包んで、俺は閣下を突き放して拒絶してしまう。
    「あ゙……あ゙あ゙……っ、かっか、あ……っ」
    「……大丈夫、ずっとそばにいるから、茨、怖がらないで、私は茨を傷つけない」
    「うう、う……ぅ、がっがぁっ……っ」
     そっと背中を撫でてくれる手がやさしかった。
     何度目かわからない涙を流して、熱の混ざりを、ひどく愛おしく感じる。ほんとうはもっとほしい、呪いを解いて、ほんとうに、愛をしたかった。

    続く

    (220606)
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