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    nanana_mi_123

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    nanana_mi_123

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    アンケ過去捏造のネロのターン。
    あとでもっと書き足してまとめたい気持ち。

     繁華街の端、空っぽのカゴを持ってぼんやり立っている子供がいた。商品を入れるべきであろうカゴを持って、ただポツンと路地に立って空を見上げる子供は異質だ。街の背景から数センチ浮いてそこに存在している。服はぼろぼろなのに妙に綺麗に洗濯された感じ、身に覚えがある。
    「いくら?」
     雨の街にもこんなのいるんだなぁ。そう思いながら子供に声を掛ければ、緩慢に顔を上げた子供と目が合った。
    「ーーエン」
     分かってはいたが端金だった。物価を考えれば、数百年前から相場は変わってないのだなと思う。そこから元締めに半分、子供の手元に残るのは多くとも今日明日を生きるので必死な金額だろう。そんな端金なんて思うけれど、説教じみたことを言う立場でも、言えた義理でもない。その端金で生きていけるのだから。
    「とりあえずここで売ってるとそのうち捕まるぞ」
     ここは雨の街だ。石を投げたら街娼に当たるような町ではない。法典に従う街だ、もちろん性産業だってとても細かく制限されている。
    「そうだね」
     ひやかしかと思ったのだろうか、子供は会話する気を失ったようだった。買う気もないのにこうやって声掛けてくる大人、確かにウザったいんだよな、と遠い記憶に想いを馳せる。ヤることヤるクセに終わったら叱ってくる大人と同じくらい性質が悪い。好きで売ってるわけじゃないのに、好きで買ったお前の言葉など響かないのが分からないのだろうか。子供の考えていることが手にとるように分かる、路地に立ってる時に考えることなんて大体みんな一緒だ。良い客に付きたい、暴力的じゃなければ良い、せめて金はしっかり払って欲しい、お茶で帰ったら明日を生きられない。
     俺のことを客にはならないと判断したのか、子供はわざとらしく溜め息を吐いて爪先に目を落とした。疲弊して爛れた子供らしくない雰囲気に、なにも分からず雨の街に立ってるわけじゃないだろうと思う。
    「客の取り合いが嫌になって出てきたクチ?」
    「そうだけど。これ以上話すなら金払いなよ」
     子供の言葉にそれもそうだと思う。一人で立ってるならまだしも、隣に大人の男がいたら値段交渉でもしていると思われるだろう。商売の邪魔されて話したくもない話するなんて不快なことはない。
    「それもそうだな」
     財布の中身と、それからピアスを外してカゴに入れる。装飾は素人が作ったものだが、石はブラッドから貰った上物だ。カゴに入った金に、子供の顔に初めて表情らしいそれが浮かぶ。現金だけだって子供にとっては数日、いやそれ以上の稼ぎだろう。
    「え、これ」
    「元締めに一度に渡すはやめた方がいいな、それ以外なら好きに使えよ」
     現金にパチパチと目を瞬かさていた子供が、恐る恐る恐る指先でピアスをつまみ上げる。
    「きれい」
    「だろ」
     子供はギュッとピアスを握りしめると、俺の顔をじっと見つめた。
    「……これ、換金するならどこに持ってくのがいいですか」
     賢い子だと思った。
    「それ、石はいいやつだけど台座は安物だからな。売るときは石だけで売った方がいい」
     ピアスに庇護の魔法をかけてやるなんてことはしない。そんなことしなくても、きっとこの子は生きて大人になれるだろうと思った。
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    nanana_mi_123

    DOODLEアンケ過去捏造のネロのターン。
    あとでもっと書き足してまとめたい気持ち。
     繁華街の端、空っぽのカゴを持ってぼんやり立っている子供がいた。商品を入れるべきであろうカゴを持って、ただポツンと路地に立って空を見上げる子供は異質だ。街の背景から数センチ浮いてそこに存在している。服はぼろぼろなのに妙に綺麗に洗濯された感じ、身に覚えがある。
    「いくら?」
     雨の街にもこんなのいるんだなぁ。そう思いながら子供に声を掛ければ、緩慢に顔を上げた子供と目が合った。
    「ーーエン」
     分かってはいたが端金だった。物価を考えれば、数百年前から相場は変わってないのだなと思う。そこから元締めに半分、子供の手元に残るのは多くとも今日明日を生きるので必死な金額だろう。そんな端金なんて思うけれど、説教じみたことを言う立場でも、言えた義理でもない。その端金で生きていけるのだから。
    「とりあえずここで売ってるとそのうち捕まるぞ」
     ここは雨の街だ。石を投げたら街娼に当たるような町ではない。法典に従う街だ、もちろん性産業だってとても細かく制限されている。
    「そうだね」
     ひやかしかと思ったのだろうか、子供は会話する気を失ったようだった。買う気もないのにこうやって声掛けてくる大人、確かにウザったいん 1321

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