おもいでのアルバム松の内も明け、本丸は日常を取り戻していた。
ちいさな大倶利伽羅は、無事ランドセルの準備も終わり、春から小学校に通うのを楽しみにしていた。無論、本人は嬉しそうな素振りだなど見せているつもりはないが、ランドセルを見つめると、思い出したように舞う薄紅色の花弁は、ごまかしようのない大倶利伽羅の気持ちを表していた。
「「「出席は2人まで!?」」」
常日頃から賑やかな伊達組の部屋に、3人分が重なった声が木霊する。
正面に座るちいさな大倶利伽羅は、その勢いに吹き飛ばされそうで、腹に力を込めて、なんとか持ちこたえた。
「…せんせいが、今は密になるのはいけないからだ、と言っていた」
キリっとした表情に「伽羅ちゃんはやっぱりカッコいいねぇ」と相好を崩しているのは燭台切光忠だ。
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