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    えむえむ

    @mmm_shann

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    えむえむ

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    フォロワーさんの龍神×村人呟きに触発されて

    龍神沖田さん×永井くん(途中で終わる)オレンジ色の夕焼けを背にした永井は、自宅の門の前、決意の籠った声で呟いた。
    「大丈夫、ぶっ殺してやるから」
    さめざめと泣く母の肩を叩いて励ましながら、母の隣で不安げな父に笑いかける。
    伝統的な白い衣装的なものは準備されていたが、女でもないしと赤いTシャツにズボンのままだ。帰省したときのバックパックを背負っているせいかただの外出が若干の遠出みたいな見た目だ。
    まさかこれから森に入って龍神を殺ってくるって思う奴はいない気がする。
    「じゃ、行ってくる。母さん達は寝てなよな!」
    負けることは想定していない。だから今生の別れになるとも思えず、元気よく手を振り森へと出発した。

    夏季休暇のために実家に帰省していた永井が、壁に刺さった白羽の矢を見つけたのは朝起きて新聞を取りに行ったときだ。
    近所の子供がイタズラしたんだろうと溜息をつきながら引き抜き母に話すと、朝食を作っていた母がみるみる青ざめていく。
    そしていろんな人に電話をかけはじめ、朝早いっていうのに一時間後には村内の年寄り二十人が家に集まった。そして全員で輪になりめちゃくちゃ真剣な顔で龍がどうこう生贄がどうこう話し始めた。
    輪には、永井の両親も混じっている。
    「どうしたの?」
    一人輪の外にいた永井が戸惑い声を掛けると、二軒隣のいつも優しい婆ちゃんが振り向く。悲しそうに永井に向かい手を合わせた。
    「お前は生贄に選ばれたのじゃ」
    「なに?生贄?いきなり昔話?」
    「昔話なんかじゃないの。この村にはあんたに教えていない言い伝えがあるの」
    ハンカチで涙を拭った母が話に加わる。
    「この村ね、百年ごとに龍神様に生贄を捧げなければならないの」
    昭和のこの時代に何言ってんだろこの人たち。馬鹿馬鹿しいって気持ちしかなかったがただ事じゃない雰囲気に、ひとまず黙って話を聞くことにした。
    母の話をまとめると、今はもう森に古びた祠しかないがそもそもこの村は凶暴な龍神様を祀っているのだという。昔から百年ごとに白羽の矢が立った家の若い娘が生贄になるのが決まりらしい。
    永井には姉がいるが結婚して別の場所に今はいる。となると男ではあるが帰省中の永井が生贄決定だそうで、今日の夕方森の奥の祠に一人で行かなければならない。
    「生贄って要は食べられんの?」
    「……そうね……。帰ってきた人はいないって……」
    「でさ、その生贄とやらを捧げなかったらどうなんの?」
    「天災が起こって村がなくなるって……」
    「じゃあさ、龍神がいなけりゃいいんじゃね?やっつけりゃいいじゃん」
    「なにを言うとる!罰当たりな!そもそも神様じゃぞ、人間ごときには敵わんのじゃ!」
    爺ちゃんの一人が目を見開きすごい剣幕で怒鳴ったものだから、永井はそのまま押し黙った。
    納得した訳ではないし未だ信じられないものの、彼らに今は何も言っても無駄だと悟ったからだ。
    永井は黙って頷きながら、もし実際に龍神とやらがいるとしてどうやったら倒せるのか脳みそをフル回転させていた。
    年寄りが帰り静かになった家で泣きじゃくる母と狼狽する父を横目に、永井は淡々と準備をした。こういうときは自衛官で良かった。まあ自分が食べられるなんて半信半疑だからっていうのも大きいが。
    万一のときの着替え、救急用品、食料、懐中電灯、ナイフやマッチ、水筒……。ここですら圏外で森の中で使えるとは思えなかったが携帯はフルで充電しておいたし、倉庫になぜかあったTNTと信管も詰めた。

    ……で、こっちだったっけ。
    昔よく友達と行った森の中は、鬱蒼とした背の高い木々が生えて夕方とはいえ結構暗くて寒いくらいだ。
    記憶を頼りに祠のある道を目指し進んでいく。
    何度か別れ道を進み一本道に出れば、前方に小さく石造りの祠が見えた。
    祠までは獣道を想像していたが整えられた草もあまり生えていない道だった。定期的に村民が来ているのだろう。
    永井は無言で歩き腰ほどの高さの祠の前で止まった。
    立ったまま辺りを見渡し龍神とやらがいるか目を凝らすも、暗くてよく見えない。
    懐中電灯を取り出すべくバックパックの肩ベルトに手をかけたとき、足音が聞こえた。
    体が固まる。いやいやいや動物だろ?熊じゃない限り怖がんなよと自分を叱咤する。
    今の今まで信じていなかったのだ。こんな森、日が暮れた時間に誰かがいるはずがないと。まして龍神なんてそんな非現実的なもの。
    「お前、生贄?」
    後ろから低い声がして背筋が凍った。
    「白い衣装着てないんだ。男だからか」
    「……俺、俺は……」
    姿が見えなくても分かる強烈な、人でないなにかの存在感。顎が震えて上手く喋れない。TNTはバックパックの中だ。取り出せない。普通手に持っておくだろ、なにやってんだよ俺は。
    「健康そうな体だ」
    うなじに生温い息がかかる。魚みたいな匂いがした。
    臀部をさすられ経験したことのない恐怖に鳥肌が立ったと同時、闘わなければとようやく頭が働き始める。
    でもこんな至近距離、後ろを取られていては無理だ。せめてバックパックの中身を取り出せるくらいには離れないと。
    深呼吸をした。
    ……健康優良日本男児を舐めんなよ!
    未だ臀部で動いている龍神の手首を震えた手で掴む。鱗みたいなざらついた感触の気味悪さに堪え、間髪入れず捻った。
    「っ!」
    怯んだ隙に体の向きを変え蹴りを入れる。あまりよく見えないが、永井より背は高いものの人間と変わらない背丈で着物を着ている。人間でいう鳩尾に入ったはずだ。
    うずくまった姿を目にし距離をとる。隊で培った徒手格闘は龍神にも有効らしい。
    急いでバックパックを地面に下ろしたとき、また真後ろで声がした。伸びてきた両腕が永井の腹部を撫でている。
    「さすがに痛いんだけど」
    「っな……!」
    「俺人間じゃないから、痛いけどそういうの効かないんだ」
    体をよじりもがくが、そんなに力を入れている様子もないのに全く彼の腕から離れられない。
    「おい!離せよ!」
    「離してやりたいけど、百年目となればそうはいかない」
    ひどく冷たい響きが鼓膜を震わせる。
    「……やっぱ食うのかよ」
    「まあ、滅多にない発情期だから。ごめんな」
    「……精をつける的な?」
    状況は限りなくやばいがそう簡単に食べられるつもりはない。永井はできるだけ会話を引き延ばすことに決めていた。
    再びのチャンスを狙いたかった。昔から諦めが悪い男なのだ。
    「精をつけるというか、本能なんだよ。女がいいって思ってたけど、お前もすごくいい匂いがする、お前でよかった」
    龍神の呼吸がだんだん早くなってきて息がひっきりなしに首元にかかる。不意に耳朶を舐められ永井の体がびくついた。
    「……っ」
    「なあ、番おう」
    ……つがおう?
    耳慣れない言葉。目を瞑り耳の刺激に耐えながら頭の中で疑問が浮かぶ。
    ……食べたいとかいただきますとかじゃなくて?
    龍神の動きを思い出す。いきなり尻を触られたしか次は腹、今耳で。この行為、今から食べるっていうより……ってかさっきの言葉、なんとなく聞いたことがある。
    「つ、がうって?」
    恐る恐る尋ね返す。自分の想像が外れて欲しいと願う。
    「ああ、今の人間って分かんないのか。交尾しよう」
    一瞬言葉が紡げなかった。一番当たってほしくない予想だった。嘘だろ、こんな神様っていんのかよ。とんでもないもん祀ってんじゃねえか。
    「……俺、男だぞ」
    「いいの、お前がいい」
    「ふざけんな!俺は絶対嫌だからな!」
    声からして龍神も男だ。男同士でしかも神と?龍となんて想像するだけで吐き気がする。
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