バスが来るまで「あった!ここっすね!」
リュックサックを背負った永井は、木製の屋根があるバス停に駆け寄った。
田畑の中にぽつんとある、背の高い標識と屋根は目立って分かりやすかった。
年季の入ったバス停の時刻表を眺める。事前に調べたものと違いはなさそうだ。
「あと十五分で来ますね」
「了解。間に合ってよかった」
空いていた、屋根と同じく木製の椅子に、先輩でもバディでもある彼……沖田が座ったから、永井も左隣に腰かけた。
「これ逃したらあとは夜だもんな」
「一日に四本しかないっすもんね」
すかすかに空いた時刻表は永井の地元を思い出させる。移動手段としては車がメインだからバスにはほとんど乗らないが、地元ではもうちょっと本数はあったように思う。
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