『 千空ちゃん、好き好き大好き大愛してる!』
もはや挨拶レベルで彼に向けて口にしている言葉。何かお願いごとがある時なんかに、なるべく軽く聞こえるように。
……そうすれば、そのなかにほんの一欠片。
本当の気持ちが織り込まれていても、このペラッペラの大嘘吐きが言うことだ。
本気にするはずもない。
……でも、嘘で。
愛してる、とは言えないから、大袈裟なオブラートに包んでしまう。
自分の気持ちに気づいたのは、ほんの少し前。何か劇的な出来事があったわけではない。ほんとうに、ふいに。
……ああ、すきだ。
そう思ってしまった。深い深い、胸の奥底から湧き出す感情で。
彼への想いを自覚してしまった。
今の彼に、そんな余裕はないというのに。
3880