退屈/闇に舞う美しさとは何か。
まばゆい金銀宝石も、天地自然の輝きも、尊き生き物達の囀りや歓喜の歌声も、美しいと云われるものは全て旅のうちに目にし耳にし既に飽き、不変の退屈と空虚さに欠伸するほどだった。
どんな詩を紡ごうと、世界は決して変わらないのだ。
醜くのたうちまわることも出来ず、流浪の果て、私は仲間と呼ばれるものにも出会った。
友情や愛と云ったものは、美しいと聞いていた。
確かに美しかったのだろうが、遠すぎる過去に思いを馳せるも今ではもうよく思い出せない。
友愛なるものに触れることで何かが変わるかと思いもしたのだろうが、悠久の時の中、思い出は美化されることもなく霞のようにかき消えた。
だが、あの夜はよかった。
まだ友だったもの達と、浅はかな夢幻を騙りながら見た夜空。
1401