おつかれさま「! 鍾離様、いらしていたのですか」
「ああ、邪魔をしている」
先日、古い友人達との集まりがあるので一週間程璃月を離れると言って出て行ったはずの鍾離だが、あれから三日程しか経っていない。望舒旅館の最上階、魈が寝泊まりしている部屋に降魔を終え戻ると、そこには鍾離がいた。備えつけの簡素な椅子に腰掛けており、テーブルには茶器が置いてあった。ここで一人茶を飲んでいたようだ。
「……すまない。俺がいては邪魔になってしまうな」
「あ、いえ。新しい茶を淹れてきますので、少々お待ちください」
鍾離は全く立ち上がる様子もなく、珍しく憔悴した顔をしていた。きっと何かがあったのだろう。
厨房へ降りていき言笑に茶を淹れてもらい、再び部屋へ戻る。鍾離は先程と何一つ変わらぬ姿でそこに座っていた。
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