【保カフ】とらわれた怪獣カフカが防衛隊に仮だとしても受け入れられて、ただ暫くは手枷を付けられていたのが癖になり、
保科と話す時も、無意識に手を後ろにしてしまって、それがまるで
私は手を出さない、危害は加えないと言っているようで。
夜、二人きりになっても手を保科から無意識に遠ざけてしまう癖が出てしまって
それが保科にとって苛立つことであり辛い。
日比野カフカが危害を加えるなんて思ってもいない。
十分に証明してきたし、怪獣に精神事飲み込まれさえしなければいたっていつものカフカなのだ。
それを自らカフカ自身が知らない内にそうしてしまう必要なんてない。
必要なら上からの命令で足枷でも拘束服でもとっくに指示が出ているはずだ。
それなのに──。
保科は椅子に座ったカフカの横に座るかと思いきや、椅子を退かしてカフカの座る椅子の足をギイっと引っ張り自分へ寄せた。
「ほ、保科…副隊長?あ、あの…」
慌てて膝の上に置いた手をまた後ろへ隠そうとするから保科は逃がさないように両手を取った。
「え?」
「止めろ…僕の前で……そうする必要…あらへん。」
「あ…えっと、何、を?」
気づいてないのかと、カフカに沁みつかせてしまったその癖に溜息を吐いた。
所々、皮が厚くなってマメになっているその手の指を全て絡ませて、保科が自分の額へ近づけて祈るように言った。
「お前は…よう…、がんばっとる…」
「…。」
「大丈夫や…、僕がお前の隣に居るよ…。ずっと…。」
小さく息を吐きだしたカフカ。
保科の手に濡れた何かが落ちた。
「おいで、カフカ…。」
立ち上がってカフカを包み込むように抱きしめた。
「俺、はっ…副隊長の…防衛隊のっ、…役にたち、たいっ、」
保科はふっと笑って、きっと膝の上で握られているであろう拳を想ってこう言った。
「その手ぇ、置く場所…間違ぉてるよカフカ…」
そう言って、その両手を自分の肩にまわさせて自分を抱きしめるのだと教える。
恐る恐る少しだけ触れていいのだと手を回してくれたが、
「カフカ…、もっとぎゅうってしてくれへんの?」
ちょっと笑って言う保科にまた少しだけ引き寄せてはくれるが…。
「もっと、ちゃあんと…指も手のひらも俺に触れて?」
カフカの背中を優しくさする。
「僕は、壊れへんよ。」
「副…隊ちょ、っ…」
この後、副隊長の部屋に連れてかれて優しく触れて抱いてくれて、
自分の事を特別にさせようとカフカを抱く。
翌朝、目が覚めたカフカの手は保科に握られたままでそれが嬉しくてちょっと泣きそうになっちゃうけど
目を覚ました保科に口づけられる。
「また、泣いてるんか?」
「っう…だって、保科ふくちちょ…」
「ん?僕が?」
「好きに、なっちゃったじゃない、すか…どうして、くれるんですか…。」
「お前、何言うてんの?」
「?」
また深く深く口づけが少し続いて、
「僕は、愛しとるよ。カフカのこと。」
って、優しい声にもう力入らなくなっちゃったカフカが嬉しくてうっとりしてしまう。
「かわえぇな…、カフカ…」
って、まだ少し時間があると保科に愛される早朝4時。