門出の日に 夜中からからパラパラと降りだした雨は式典が終わる頃になってようやく止んだ。ただ相変わらず空はどんよりとした雲に覆われていて、ようやくスタートラインに立った喜びよりも知らないひとだらけの新天地へ向かう不安感が勝る今日の心情を気取られているかのようだ。
今朝はあんまりにも酷い顔をしていたのか、あき君から途中まで一緒に行こうか? とまで言われたくらいだった。図星を刺されたことについ苛立って、もう子供じゃないんだから放っておいてよ。と当たるように言い返してしまったのは反省している。気持ちは嬉しかったけど素直になれない自分に落ち込んで出港準備が進む艦内でひとり唇を噛む。子供じゃないんだと自らが発した言葉を反芻した。道なき道の先頭を歩き後に続く者達へ道しるべを作るのが自分に課された大事な仕事だ。決意を新たに俯いていた顔を上げてすっと前を見据える。
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