Crimson Memory紅の記憶
偉大なる航路に、こんな人魚姫の伝説がある。
実際にいる種族とは違う、伝説の中での人魚は海の上で暮らすことが出来ない存在だ。これをかつての世界で人魚というものは決して水中以外では生息することが出来ず、陸に焦がれて今の様に進化したのだという説を信じる学者も少なくない。
信憑性は兎も角として、人魚姫の伝説の話自体は陸の人間に叶わぬ恋をした人魚が魔女と契約をして人間の脚を手に入れる。
代償は美しい声で、歩く度に焦がれて手に入れた足は割れたガラスの上を素足で踏むような鋭い痛みが襲うという凄まじいものなのに、無謀なその恋は結局王子の心を手に入れられず、結局は人魚が海の泡から空の大気となって終わるらしい。
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