運命の赤縄足首に赤い紐やら縄やらを巻き付けているくのいちを学園内でちらほらと見かけるようになった。
彼女らがつけているものを見るに、着飾るためでは無さそうだった。であれば、恐らくあれは何かしらのまじないをしているのだろう。
さて今度は一体何のまじないなんでしょうね、と何となしに話題を振れば、緑色の忍装束に身を包んだ我らが図書委員会委員長、中在家長次は作業をしている手を止めて「大方これを読んだのだろう」と一冊の本を手渡してきた。
「これは?」
「逸話が書かれたものだ。」
「逸話…まじないの本ではないのですね。」
ぱらぱらと捲ってみると、どうやら短い話がいくつか書かれた物のようだった。
僕らのやり取りを聞いていた水色─きり丸が、「一体どんな話が書かれてるんすか」と疑問を飛ばす。
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