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    お豆。

    @s62m36

    うぜんちんあなごの人です。
    どうぶつとパンがだいすき。
    メンタルお豆です優しくして下さい。

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    お豆。

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    2023.05.13webオンリーに仕上げたお話。
    村田さん後藤さんの現パロ記憶ありのお話。
    村田さん目線です!後村後です!

    あなたは前世の記憶を信じますか? 俺と後藤さんは2人で店を開いた。

    居酒屋村田。

    俺がやりたいと言い出したので俺の名前になってしまったけど、もっとよく考えれば良かったなと今になって思う。

    俺たちには前世の記憶がある。

    前世の繋がりがあるからなのか俺たちの開いた店には鬼殺隊の面々が次々に集まった。
    アルバイトだったりお客さんだったり
    そのたびに俺たちは胸がいっぱいになって泣いた。
    とんでもない情緒不安定な上司だと思う。


     後藤さんの家に泊まった時のこと、
    ひとり暮らしには無駄に広くて布団と薬や包帯なんかが沢山あった。

    俺たちが忘れていないかぎり
    鬼はまだ居るかもしれない
    どこかで知っている誰かが倒れていたら連れて帰って手当てしてあげるためだと言っていた。

    新品でしまってある布団を見た時、
    この人は俺が想像しているよりもずっと
    つねに前世の記憶に苦しんでいるのだと知った。

    夜中に目が覚めて後藤さんが居ないことに気がついた。

    そんなまさかと思って
    慌ててまず玄関に靴があるか確認した。

    靴はあったので
    家の中に居るはずだと思って
    恐る恐る風呂場を確認した。

    風呂場には居なくて少しホッとして
    次はトイレだと思った。

    トイレに向かおうとして振り向いたら
    後藤さんが立っていた。

    全然気がつかなくて驚いたけど
    顔を見たら安心して涙が溢れてきた。


    「……どうした?村田ぁ」

    「うぅ…どうしたじゃないっすよ!びびった…後藤さん、隊士探して徘徊してるか風呂場で死んでるかと思った…」

    「……勝手に殺すなやい」

    「そっちこそ、勝手に居なくなるなよ〜!」

    「…夜中にトイレ行くのにお前を起こすのか?俺は何歳児だよ」

    「うおぉ〜後藤さぁぁん!」

    「なんだよ村田ぁ」


    もう何に当たればいいか分からない感情が爆発して彼にしがみついて泣いた。

    後藤さんは「わかったわかった」と言って
    背中を撫でてくれた。

    そのまま気づいたら布団に寝かされて
    掛け布団をかけられて胸をトントン叩かれていた。

    俺は何歳児だよ
    まあ、そのままスヤスヤ寝ちゃったけどね。





     俺は後藤さんから目を離しちゃいけないと思って隣の部屋がうるさくて眠れないって嘘をついてもう一晩だけ泊めて欲しいとお願いしてみた。

    嫌がると思ったけど
    彼はあっさりオッケーしてくれた。

    職場も一緒だし
    引っ越してきてもいいけど
    なんて言われた。

    え?
    もしかして
    お付き合いスタートだったりする?
    なんて思ったのだけど
    まったくそんな気配はなく
    次の日からもいつも通り。

    老後の夫婦のような
    親と子のような
    兄弟のような
    多くは語らないけど何となく分かるみたいな
    そんな関係だった。

    店にお客さんとして来る音柱様には
    掘ったのか?掘られたのか?
    など、セクハラ発言をされているけど
    身体の関係もまだ無い。

    これからも無いかもしれない。

    それでもいい
    理由はシンプル
    ただそばに居たい
    それだけ。

    でも、俺も後藤さんも
    それだけ の存在が
    ずっと必要だった気がする。

    後藤さんが望むなら
    俺は抱かれても良いし
    何なら抱く方でも良い。

    さっき、ただそばに居たいだけとか言ったけど
    抱いてくれないならそのうち抱くと思うな…。
    さすがに拒否されるかな?

    でも何事もタイミングは大事だ
    そのタイミングにハマるかハマらないかで
    相性の良さも決まるのでは無いだろうか。
    だとしたら俺たちは全てのタイミングは良かった気がする。

    きっとこれからも、
    誰でも良い訳じゃ無い 丁度いい存在。


     定休日、天気のいい日は公園を散歩したり
    どちらかの家で新メニューを考えたり
    ゴロゴロしたり、お互いの髪を切ったり
    ただただ平和に過ごしていた。

    こんなに一緒に居るんだから後藤さんの無駄に広い家に俺が引っ越してきても良いけど新しい家を探すかって話も少しした。





     そんなこんなで何度目かのお泊まりの翌日


    「俺は浮気しようと思う」

    「は???」


    朝ご飯の味噌汁を啜ってる時に
    後藤さんが突然浮気宣言してきた。

    よかった…俺たちは付き合っていたんだ!

    じゃ、なくて
    浮気とはなんぞ?


    「えっと…」

    「朝はパンが食べたい」

    「え!?そうなんすか?言ってくださいよ!て言うか、朝ごはん作ってくれるのだいたい後藤さんなのに和食にしてたの俺のため?そんな理由で浮気?俺は朝ごはんパンでもいいっすよ!」


    一日中朝から晩まで一緒に過ごす日、
    朝ご飯は後藤さん
    夜ご飯は俺が作っていた。
    昼はそれぞれ自由だったり
    気が向いたら一緒に食べる。


    「……駅前のパン屋のパンが食べたい」
    「何それ!俺が買ってきますよ!何パン?」

    「……竈門、怒るかな」
    「……あ…浮気って、パン屋の?」

    「ウン。」
    「も〜」

    なんだよそれ〜〜
    可愛すぎか!あほ〜〜!
    焦ったぁ〜〜!


    「食パンが美味いんだって」

    「誰に聞いたんすか?」

    「…竈門」

    「まさかのご本人!」

    「そうなんだよ…聞いたらどっちのほうが美味いのか気になっちゃって」

    「そっか〜!」


    凄い思い詰めた顔しといて
    食パンのこと考えてたの?
    やばいな、なんか可愛いんですけど。


    「なんでニコニコしてんだ?」

    「んふふ、べつにぃ〜!これ食べたらパン屋行きましょうか!仕込みまで時間あるし、俺も共犯です!」

    「竈門怒るかな…」

    「も〜!大丈夫ですって、竈門がそんな事で怒るわけないでしょ!」

    「う〜ん…」

    「食パン食べたくてそんな悩む?じゃあ、来月のおすすめフレンチトーストにして竈門ん家のパン屋から食パン仕入れましょうか」

    「…もうカフェじゃん」

    「ですよね〜!昼間カフェ開いちゃおうかな〜」


    そう言ったら後藤さんは味噌汁に落としていた視線を俺に移した。


    「ん?どうしました?カフェ興味ある?」

    「無くはないな」

    「じゃあ、カフェメニューじゃんじゃん取り入れていきましょうか!我妻にまたここはカフェかよって言われちゃいますね〜もうカフェにしちゃうのもありだな〜そうしたら朝から晩まで働けて、ずっと俺たち一緒に居るしかないし…いよいよ同棲ですかね?なんちゃって」

    「…まあ、それでもいいな」

    「マジですか」


    この先もずっと朝から晩まで24時間毎日俺と過ごしても良いということだ。
    絶対に逃げられないモブキャラ生活ですよ?
    まあもうほぼ毎日会ってるし同棲しても関係は変わらないのかもな…。


    「村田お前ってさ凄いよな」
    「え?何が?」

    「お前のこと嫌いな奴居ないと思う今も昔も」
    「褒めても何も出ないですよ」

    「俺はだめだ。今も昔も」
    「何言ってんすか」

    「俺は剣士になれなかったしよ」
    「もう!隠舐めないでください!隠居なかったら俺たちあんなに戦えませんて!」

    「褒めても何も出ないぞ」
    「ふふ、覚えてます?那田蜘蛛山でさ」

    「那田蜘蛛山?」
    「俺、色々あって素っ裸でさ。後藤さん自分が着てる上の隊服貸してくれて…下は貸せなくてごめんって、手拭いと包帯出してくれて。巻いとけ巻いとけって褌にしてくれたの。あれマジで感謝でした」

    「ああ…あったな、そんな事も。エグいことになって死んでる奴いっぱい居てさ、お前も死んでると思ったら生きててさ…真っ赤になって泣いてて…」

    「もー!やめて!言い出したの俺だけど!」

    「……ありがとな、村田ぁ」

    「え?何が?」








    「今も昔も生きててくれて」







    そんなの、こちらこそですよ

    って言葉が口から出るより先に涙があふれた。

    彼のやさしい手がそっと俺の髪をなでた。

    俺たちの存在は唯一無二だ
    今も昔も。
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