カンカンカン最近豪炎寺に避けられている、気がする。
一緒に帰ろうと誘ってもそれとなく断られるし、部活中はともかくとして、クラスで一切話さなくなってしまった。話さなくなった、というのは語弊があるかもしれない。気が付いたら豪炎寺の姿が見当たらないのだ。一週間前までは休み時間毎に尽きない話を永遠とし続ける俺を呆れることなく、ふっと微笑んで俺の話を聞いていてくれていたのに。
そうだ、一週間くらい前から豪炎寺は俺が距離を詰めることを怖がっているようにも見えた。この前なんて俺がちょっと廊下で足を取られて体制を崩してしまった時、一瞬豪炎寺は俺を支えようと手を咄嗟に出そうとしてーーそのまま手を引っ込めてしまった。別に手を引っ込めた事に怒っているわけではない。ただ、まっすぐな彼らしくもない豪炎寺の行動にすっかり気を取られてしまった俺は、間抜けな「え」という声とともに顔面から地面にぶつかっていった。
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