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    ののと

    気まぐれに。@xnonox
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    ののと

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    映画/0巻のあと、五と七は何を話したんだろ、の妄想。特にできてない二人のはず。五七未満のはず。短い。

    「五条さん」

    瓦礫の山に座る五条を見つけ、七海は声をかけた。何があったか話は聞いていたが、想像以上だと、ここにたどり着くまでの高専内の惨状を見て思った。

    「戻ってたんだ七海」
    「ええ。つい、先程」
    「そ、おつかれ」

    そう、何があったが、話は聞いている。今回の首謀者も一度目の前にしているから分かっているし、その彼がどうなったかも、聞いた。かつての先輩、目の前の男の親友、彼がどうなったのか。
    五条は、いつもと変わらないように見えた。でももしかしたら違うかもしれない。ただ、自分には分からないだけかもしれない。七海はそんなことを考えながらゆっくり五条に近付いて行く。
    それから、見つけたらなんて声を掛けようか、声をかけるべきか、必要か、不要か、そんなことも考えていた。けれど思いつく言葉はどれも違う気がして、結局ピンとこないまま先に五条を見つけてしまっていた。
    七海は更に五条に近付くため、瓦礫に足をかける。

    「ほんと、めちゃくちゃにしてくれたよねぇ」
    「アナタも昔、めちゃくちゃにしたことありませんでしたっけ」
    「あは、そんなこともあったっけ」

    あの時はまだ、五条の隣に彼はいた。そして、その後、消えた。それはまた、形は違えど七海自身にも言えることだった。
    やっぱり七海は、五条になんて声をかけたらいいか分からなかった。分からないけれど、もう彼の目の前まで来てしまった。だから。

    「…五条さん」
    「なに」
    「無事で、何よりです」

    五条はそこでやっと七海の方に顔を向けた。崩れた建物の上に二人で立つ。包帯を解いた片目で、五条は七海の顔を見た。そして笑った。

    「当たり前じゃん、僕だよ」
    「ええ、そうですね」
    「ならなんで言ったの」
    「さぁ」

    言っておかないと、死んでからじゃ言えないからですかね。
    そう、答えになってるんだかなってないんだか分からない返事を七海はした。五条はその言葉にまた笑った。

    「五条さん」
    「なに」
    「包帯、汚れてますよ」
    「ほんと?白だから、目立つよね」
    「…やめたらどうですか、ちょっと、あれですし」

    そう言い、七海は踵を返して来た道を降り始めた。五条があれってなんだよと言いながらその後を追う。

    「汚れの目立たないものにしては」
    「黒とか?」
    「無難ですね」
    「でも黒の目隠しもあれなんじゃないの」

    ガラガラと音とホコリを巻き上げながら二人は降りる。七海が先に降りきって、五条が最後の一歩、というところで、少しバランスを崩した。転ぶことは無かっただろうが、七海は反射的に動いてその腕を掴み支えた。無言のまま、二人の視線が絡む。ほんの、数秒。

    「ありがと」
    「しっかりしてください」
    「してるよ」
    「なら、いいです」

    そう言って、すぐその腕を離した。

    「…黒、いいと思いますよ。暗ければ暗いほど、きっと明るいところがよく分かる」

    七海は夜蛾に呼ばれていた。だから彼の居る所へ向かうため再び歩き始めた。
    五条はそこで立ち止まったまま、それ以上七海の後をついて行くことはしなかった。代わりに、少し距離のできたその背中に声だけを投げた。

    「いいかもね。オマエなんか特に、どこもかしこも明るくて分かり易そうだし」

    髪とかスーツとか、その変な柄のネクタイとかさ。届いた五条の言葉に、最後のは関係ないだろう、と思ったけれど、少し視線をそちらにやるだけで七海はもう何も言わなかった。最後にちらりとだけ見た五条は、やっぱり笑っていた。

    結局、最後まで何て言ったらいいか分からなかった。ただ、無事でよかった、その思いは事実だったから、七海はそれでいいと思った。今は、それで。
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    ののと

    DONE五七。久しぶりに会えたのに邪魔される二人。短い。r18でも特殊でも全くないですが糖度と密着度高いのでそのためのワンクッションです。
    お互い仕事が終わって、何週間ぶりにやっと会えた日。七海の家で二人、なんでもない顔して食事をして、珈琲を入れてソファに座り、適当にテレビを流しながらここ数日の話をしていた。そうして、一瞬だけできた無言の時間。目が合ったと思ったら、どちらからともなくキスをしていた。
    重ね合わせていただけの唇、少し離したり、また押し付け合ったり。じゃれ合うようなそれがどんどん深くなって、お互いの舌が相手の口のなかへと入り込んで絡み合っていく。がっついてるな、お互い、そう思いながら。それでも勿論やめることなく。狭いソファの上で七海が五条の上に乗りあげる形で座り、その腰を五条がしっかりと抱え込んでいた。
    徐々に触れ合う箇所が増えていく。でも、もっと。久しぶりの逢瀬、一度こうなれば、当然次に考えることは二人とも同じで。普段は五条に流されがち、任せがちなここからの流れ、でも今日は七海も積極的で、五条のいつもの黒服の中に手を差し込んでいた。当然五条も同じようにしていて、さぁいよいよ脱がしてしまおう、といったところで、お約束の電話の音が鳴り響いた。五条の、携帯から。
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