おはなし①「すみません、麦わらのルフィさんですよね?」
上陸した島の繁華街で、昼食を終えた時だった。レストランから出ようとしたルフィの元へ駆け寄ったウェイトレスが、分厚い封筒を差し出した。
「これ、受け取っていただけますか?」
桃色の封筒を持っつ手は小刻みに震え、伏せ目がちな視線はキョロキョロと足元を右往左往し、顔が茹でダコのように真っ赤に染まっていた。そんな彼女の状況を気にもせず「おう、いいぞ」と何の疑いもせず、ルフィは封筒を受け取った。
「ありがとうございます!あのっ……お、お慕い、しております!」
「ん?そうかぁ。それじゃあ行くな」
「はい。是非またいらしてください!」
人のいい笑みを浮かべたルフィは「満腹満腹」と腹を摩りながらレストランの扉を開き、ウェイトレスは深々とお辞儀をして後ろ姿を見送る。突然繰り広げられた珍しい状況の一部始終を見せられていた麦わらの一味も、ルフィを追ってぞろぞろと店を後にした。
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