White Whale白い鯨
「ここで働かせて下さい───!!」
「何も聞こえねぇよい」
二回目の挑戦は、金髪の少年の足払いによる退場で終わった。そのまま船縁に激突したサッチは頭に派手にたん瘤を作った。手当をしてくれる船医の舌打ちは今まで聞いた舌打ちの中でダントツに恐ろしかった。
「船長さん!おれの話を、聞…」
「今虫が飛んでたよな?」
二十三回目の挑戦は、腰に青い布を戻した少年からの肘打ちで失敗した。鳩尾とは、間違いなく人体の急所であると身をもって知れたは良いが、悶絶するサッチを無情にも海賊達は笑って跨いで行く。
「だから、まずは話をっ、おっ、お、おわ〜〜!!!」
「馬鹿が一人落っこったよい、誰か拾いあげてやってくれー」
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