如何物食い クーラーの効いた部屋で、菊は畳に寝転がったまま漫画を読んでいた。締め切った窓ガラスを通して蝉の声が聞こえている。この季節になると日中に出歩くのは自殺行為だとさえ思える。それは隣にいる彼も同じらしく、このところはゲームばかりやっている。今テレビ画面に映っているのは剣と魔法の中世ファンタジー世界。お決まりのジングルが響いて戦闘画面のBGMに切り替わると、アルフレッドが引きつった悲鳴を上げた。
「うわっ、Devil Fishだぞ!」
「――ああ、クラーケンですか。それには炎系がよく効きますよ」
人間くらいは丸飲みにしてしまいそうな巨大なイカが、画面狭しとその脚をのたくらせている。それを見て、菊は以前から気になっていたことを思い出した。
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