ノンアルコール・モヒート!(7) 何の疑いなく、酒を口にした藍湛はというと。
「友達になってくれて、ありがとう…」
と言って俯いたきり、動かなくなった。流石にこのリアクションは初めてだった。
え、大丈夫か?息してる?
慌てて近寄り呼吸を確認する。結論から言うと、寝ているらしい。生きてる事に安堵したのも初めてだった。
マジか……マジか。このひと口で寝るのは…想定外だった。これは、うん、立派な下戸だ。
起きるまでこの姿勢でいるのか…と考えながら寝顔を眺める。寝顔まで美しい。触れていいのか、と考える前に手が出ていた。
横髪をそっと耳に掛けてやり、長い睫毛が落とす影を眺める。ぶっちゃけ、誰かに触れられるのは嫌いだし、自分から触れる事すら嫌だった。けれど藍湛には、吸い込まれるように触れてしまう自分に驚きを隠せない。
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