花の名前モンドでの依頼をこなした後、城下の正門近くでフローラに呼び止められた。パイモンが先にふわりと近づくと、彼女の両手でも余るような小さな袋が一つ、空に差し出される。
「これはなんだ?」
鼻先を近づけてくんくんと匂いを嗅ぐパイモンが怪訝そうな顔をしていると、「食べ物じゃないよ」とフローラはおかしそうに笑う。
「この間仕入れた種なの。向日葵っていう花が咲くんだ」
「ひまわり?」
「どんな花なんだ?」
空とパイモンがそれぞれに首を傾げていると、フローラの客らしいモンドの住民がプランターに近づいた。イグサを観察するように眺めた後で、フローラに視線を送ってくる。購入の意思を示すものだろう。気づいたフローラはすぐ客に駆け寄ろうとして、空とパイモンを振り返る。
3881