第42回「ただいま」実家でもあまり挨拶らしいことはしていなかった気がする。
いきなり息子が良く分からないものが見えるようになったと言えば、家族も腫れ物扱いするようになった。
元々家庭内であつさつらしいものは”いただきます”と”ごちそうさま”だけだったから、そんなに気にしなかった。
それは高専に入っても同じで、入学したものは全員が必ず一緒に食事を摂ることが珍しいほどに任務が舞い込む。
最初こそ同期である灰原と食事を共にすることが多かったが、夏手前には互いの階級が準2級となり、今までになかった単独任務が増えて、共に食事を摂ることが少なくなった。
今日も私に任された任務が遠方での任務だったため、帰寮が遅くなった。
携帯に表示されている時刻はもうすぐ日を跨ぎそうな時間。
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