第11回 菅受ワンドロワンライ「待ち合わせ」「じゃあ、また放課後」
コートもマフラーもお役御免。朝の空気もすっかり和らいで、春の訪れを感じた。賑やかな昇降口を抜け、人もまばらな廊下でハイタッチ。教室は二つほど離れているので、ここでお別れだ。じゃあ、と菅原が自分の教室のほうへ歩き出し、名残惜しくて振り返ると及川はまだ教室に入らず、へらりと笑ってドアの前で手を振っていた。
一限、二限、三限、四限と終わり、昼休みも各々クラスメイトたちと食べる。曜日によっては五限の選択授業で一緒になったりならなかったり。他人からするとそっけないようにも感じるようだが、それはそれ。顔を合わせない間、互いのことが気にならないと言えば嘘になるが、二人で話し合って決めたことなので、特別苦でもなかった。
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