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    前夜-5

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    さかえ

    MAIKINGようやく伊くん編 冒頭のみです。
    いずれ雑伊になる話 その3四 善法寺伊作と私
     その少年が、かの大川平次渦正が創設した忍術学園の生徒であると知った時、雑渡の中に生まれたのは奇妙な落胆であった。以前から忍術学園の存在とその評判自体は耳にしており、その在り方に疑問を抱いていたからだ。城付き忍者の息子として生まれ育った雑渡からすると、忍術とは秘匿の術であり、決してもののように金品で購うものではない。それを学校という、ある種おおやけのものとして門戸を開くというのがどうにも理解ができなかった。忍術を――人を欺き命を奪うためのすべを、なかよしこよしの道具にするなどと、正直に言って舐めているとしか思えない。
     理解できないといえば、いくさ場で出会ったあの少年であった。部下によれば名を善法寺伊作というらしい。忍術学園の生徒がいくさ場にいること自体は、授業の一環であろうと察することができる。だが、そこでの彼の行動はまったくもって不可解であった。本当に偶然のこととして、雑渡は善法寺がいくさ場に入る様子を見ていたが、彼はまずざっと状況を観察してひとまずの安全地帯を確保すると、そこにひとりのけが人を引っ張り込んだ。何をやっているのかという疑問は浮かんできたが、その行動が戦況に影響を与えるわけでもなし、雑渡はとりあえず彼を放っておくことにしたのだ。別段、こどもがいくさ場に入ってくること自体はさほど珍しくもない。おおかた見物か、どさくさに紛れて物取りでもするのだろうと思って、雑渡は一度忍軍への指示のためにその場を離れた。
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    さかえ

    MAIKINGお付き合い後の雑伊の話 続きは書けたらいいなくらいで
    ざつい書きかけ「やあ、伊作くん」
     これ、お土産だよ。
     そう言って、あんまりにもなんでもない顔をして風呂敷包みを渡してくるものだから、伊作もつられてなんでもないふうを繕って「ありがとうございます」と応えざるを得なかった。途端、にっと目元をほころばせる長身の男を見上げる。その目は黒檀より黒々として、伊作に必要以上の感情を読ませない。
    「どうぞ、何もおもてなしできませんが」
     とりあえず中へと通し、急ぎ茶の用意をする。今日は左近もいないので、伊作が全てをこなすしかないのだ。
    「なんだか静かだね」
     何かを探すように視線を巡らせながら言う雑渡に、伊作はそのわけを話して聞かせた。すなわち、今日は一、二年生たちが合同実習として校外に出かけているということだ。三年生と四年生はその補助役として配置されているという。教員の多くがそちらの引率に回ったおかげで、伊作たち上級生組の本日の午後授業は自習となっていた。合同実習に付いていった者もいれば自己研鑽に励む者もいる。伊作はそのどちらでもなく、実習に付き添って行った校医の新野に代わってこの部屋を預かっているというわけだ。
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