きみはシューティングスター act.0.5 事の起こりは、春というには随分と日差しが強い四月の朝。
大型連休を目前に控えた、よく晴れた平日だった。
ぼくはいつものように、中学からの持ち上がりの友人と他愛ない話をしながら高校への道を歩いていた。入学当時こそしゃちほこばっていたが、フタを開けてみれば地方の公立校。見知った顔が多くすぐになじんだ。
最初のうちは戸惑った見知らぬ通学路も、真新しくあつらえた制服も、すでに単なる日常の一片になっていて。同じようにリラックスした笑顔を向ける友達の顔に、木漏れ日が降り注いでいたのを覚えている。
「ねえ、きみ。ちょっと」
振り返ると、きりりと締まった濃い眉に、同じくらい締まったつり目の男性。長袖では蒸すような快晴にもかかわらず、汗ひとつかかずに真っ黒なスーツを着込んでいる。
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