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    ぁぃみゃ

    絵とSS置き場
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    ぁぃみゃ

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    丸→モナSS。丸男が脳内でああでもない、こうでもないとモナミのことを考える話。

    久々にSSがボツにならずに済んだ。最近調子悪かったな。書けてホッとした。

    ##SS

    幸せな悩みひとりでの帰路はやけに長く感じた。もはや見慣れたワンルームマンションを前に、おれは無意識にため息をついていた。
    「はぁ……」
    白い息が辺りに溶けていく。見上げた空は雲が覆っていて、わずかな隙間から星が見えた。
    このまま部屋に入ると、この幸せで充実した一日が終わってしまう気がして、寒さをこらえてでもここにいたくなってしまう。
    今日は、モナミと二人で遅くまで過ごせた。テスト前だから学校で暗くなるまで勉強した後、ファミレスで食事。それから、あいつを家に送り届けた。なんとも普通の高校生らしい。
    過去、真面目に勉強しておいたおかげで、とっさに訊かれた時も完璧に答えられた。その上、「ありがと! またお願いするね」とあんな笑顔で言ってもらえたんだから、勉強も思わぬ所で役に立つものだ。
    そのまま、ぼんやりと今日のことを思い返す。モナミはファミレスで、「一口ちょうだい!」とおれが頼んだものをねだった。「ほら、取っていいぞ」と皿を差し出すと、小鳥のように口を開けて食べさせてもらうのを待っていた。
    だから、仕方なく、本当に仕方なく食べさせてやった。「おいしい!」と目を輝かせるあいつの表情に強く心を惹かれ、その後食べたものの味が分からなくなってしまったが。

    ーーまた無意識に口角が上がってた! なんて情けない……。
    誰かに見られてたら最悪だ。幸い、周りをキョロキョロするも、人の気配はない。安堵混じりの白い息が、また空気に溶けていった。
    最近、あいつのことを考えると、おれはどうやらニヤけているらしい。というのも、あいつに関するどんな話だって、結局は「そういう所も悪くないよな」と前向きに捉えてしまうからで。
    「恋は人をおかしくする」とは言うが、ここまでとは。おれだって、おれのことをおかしいと思う。
    あいつの近くにいるだけで、幸せを感じてしまう。けど、幸せには上限がない。だから、もっと近づきたくなる。もっと一緒にいたくなる。
    その結果、こうして指先を冷たくしてまで、未練がましく曇り空を見つめているわけだ。さすがに、ずっと突っ立ってるわけにもいかないし、そろそろ部屋に入るか。
    己の恋煩い加減に気味が悪くなったのもあり、考え事を無理矢理ストップさせて、マンションの階段を登った。

    相変わらず何もない部屋だ。暇つぶしになるものを用意した方が良かったかもしれない。ここにいると、つい物思いに耽ってしまう。
    ……考えることは、あいつのことばかりだ。おれだって、そんな四六時中考えたいわけじゃないのに。
    あいつのことを思うたびに、欲深い自分を思い知って苦い気分になる。おれがあいつのことを考えてるこの瞬間、何をしているのか知りたい。今すぐ会いたい。まだ話したいことがある。話すだけではなく、手を繋ぎたい。いや、手を繋ぐだけではなく……。
    ぴしゃりと自分の頬を叩き、思考の蓋を強制的に閉じた。これ以上はまずい。あいつに顔向けできなくなる。
    気を逸らすため、連絡でも来ていないかと携帯を開く。しかし、目的の人物からのメッセージはない。
    理不尽なことこの上ないが、「連絡しろよ!」と言いたくなる。ついさっきまで会ってたのにな。
    ーーおれから連絡するか? どうせなら電話がしたい。あいつがよくする、適当で思い付きの、とりとめのない話が聞きたい。
    けどそれを、最大の敵である自分自身のプライドが邪魔をする。脳内物質が見せるまやかしにうつつを抜かしおって! まったく、嘆かわしい! と携帯を床に置かせようとするのだ。
    確かに、それも一理ある。おれはなぜ、モナミに身も心も振り回されてしまっているんだろう、としばしば考える。
    だが、理屈ではどうしても説明がつかない。どんなに靡かないぞと決意しようが、あいつがおれに笑いかけるだけですべて台無しになってしまう。
    だから、抵抗するだけ無駄だ。このよく分からない感情が収まるまで、おれは振り回されるしかないんだ。

    床に座り直し、携帯を前にじっと思案する。
    今、急に電話しても不自然でない理由を必死に考えているおれは、さぞ緩んだ顔をしているに違いない。
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