捕■五月二十日
夏がくる。
窓の外では降りしきる雨と鳴り響く雷が喚き散らすように騒いでいる。部屋全体に息苦しさを覚えさせる湿り気は、エアコンで調整した程度ではなくならない。昼間だというのに黒い雲に覆われているせいで、蛍光灯の明かりだけでは梅雨の陰気さを打ち消けせず、雨音とともに室内に入り込んだ鬱屈した雰囲気が支配している。
巳虎はダイニングチェアーに腰掛け、溜息をついていた。
今日、何回目だろうか。
少しばかり痛む頭を少しでも癒そうと米噛みを揉みながら、巳虎は退屈という苦行に耐えている。ここ三日間、部屋に籠りきりになっているせいだ。
祖父に「まかせろ」と言った手前、途中で投げ出すつもりは毛頭ないが、やはり一ヶ月もこんな生活が続くことを考えると、さすがに憂鬱な気持ちになっているようだ。
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