銀愛世界の境界線を歩いていた。
歩くたびに近付く故郷の香りに誘われながら、ただただ歩を進める。歩きすぎたせいだろうか、傷は完全に治った筈なのに全身がじくじく痛い。
でも、もう戻れない。戻らない。
トールさんに肩を押してもらった。マキアの覚悟を見た。私は私のやるべき事を。私は世界の救世主ではなかったし、なれもしなかったけど、愛する人を救えるような人間でありたい。
歩いている時たまに不安になってイスタルテの様子を伺う。彼女は相も変わらず眠っているようで、私の背中で規則正しい呼吸をしていた。まるで親子のようだ。いや、私の方が娘だけど。
「イスタルテも、マキア達も……皆、強いけど、普通の女の子男の子だったわね」
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