真夏の夜に大魔王が出た日※ワンダーステージの構造を捏造してます。
なんということだ、我々の大事なワンダーステージに、黒き大魔王が現れたのだ。現れて、そしてまた姿を消した。そんな最悪の状態だ。
事件の現場はワンダーステージの休憩室――の中の更衣室に入るまでの共同スペースだ。普段は四人で打ち合わせをしたり、お菓子を食べながら息抜きするのに使っている。そして毎回使用後にちゃんと片付けと掃除もしている。ゴミも勿論毎日出しているぞ。清潔さはオレが保証する。それでも、現る時は現るのが、黒き大魔王の恐ろしさというものだ。
心当たりがない訳ではない。時間だ。今はもう閉園時間で、外もすっかり暗くなっていた。人間がいなくなった頃に夜の生き物が動き出す。いつもなら四人でフェニックスワンダーランドのゲートまで一緒に向かうのだが、ゲートまですぐそこの所で、オレがスマホをロッカーに忘れてしまったことに気づき、取りに戻ってきたのだ。
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