Switchのセコム事情(つむぎ編)深夜に放送されるゲーム実況番組の初回収録は、メインの春川宙くんのお陰で随分と巻くことが出来た。
僕たちが思っていた以上に彼はゲームが上手くて、どこで覚えたのかゲストへの“接待”も忘れない。それを思い切り“接待プレイ”と称すのが玉にキズなくらいだろうか。
春川くんはすっかり僕のお気に入りだった。
仕事に満足したというだけではない。
なにより、彼は書類で見たよりもずっとずっと愛らしかった。
話し方だろうか、それとも声からだろうか、幼くて元気いっぱいの彼は僕の好みそのもので、撮れ高的にもこれから暫く続くであろう収録に胸を高鳴らせていた。
もう外は暗いけど、いつもよりずっと帰宅してからの時間もある。
なんていい日なんだと足取りも軽くエントランスを歩いていると、どうしてか大きな柱によじ登って遠くを見ている春川くんが目に入った。
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