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    aoinishiki

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    aoinishiki

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    ハロウィンライジングのロゴ(背景)だけ見て妄想した話 あの素敵なホールマイルームになるといいな ジュナぐだ♀

     「お疲れ様でした」
     青を基調としたきらびやかなホールでは、シンデレラと書いてアイドルと読む彼女のライブの幕間として、ダンスパーティーがしっとりとした空気の中で行われている。彼女をデビューさせる魔法使い役だった立香は、ホールから離れたテラスで夜風に当たりながら、まだどこかキンキンとする耳を癒やしていた。そこへ声を掛けたのはアルジュナだ。
     「アルジュナもお疲れさま、今回もお世話になりました」
     ここまでの下準備やら、そのための素材集めやら、成功の影には人々の努力あり。それを悟らせないようにこなすのが上手いのがアルジュナだが、付き合いも長くなれば立香にも分かるものがあった。労いながら軽くお辞儀をして視線を合わせれば、今日の彼は場に合わせたように白いマントを身につけていた。その行儀の良さはお手本のようで、けれど彼にとってみれば当然のことだから、立香はさすが、という言葉を飲み込んだ。
     「貴女ほどではありませんよ」
     いや、あなたこそ。
     そんないつものやりとりは、雰囲気にそぐわないので行わなかった。風の音が聞こえそうなほど静かなテラスに、ホールからわずかに漏れたクラシックがたどり着く。
     あれはサリエリか、もしかするとアマデウスの新曲か。どちらにしてもすごく贅沢だ、と立香はそっと唇の端を持ち上げた。ふたりで音楽に耳を傾けるだけの時間は、聞こえてくる楽曲に促されるようにゆったりと進んでいく。
     「それで、なにか用事が?」
     そう聞いたのは、アルジュナが何か言いたげにしていたからだ。否、彼にしてみればぼんやりと希望していることがあった、くらいなのだけど立香にはそれがわかったのだ。
     「えぇ」
     踏み込まれた、とも見透かされた、ともとれるその行為をアルジュナはうれしそうに受け止めた。彼女になら心地良いのだから、惚れた相手にはなんとやら、である。オリオンやイアソンに知られれば揶揄われるのだろうな、と頭を過った考えを、彼はそのままやり過ごすことにした。
     片膝を着いて、右手を差し出す。はらりと動いた外套が蓮の香りを落とす。
     「立香、私と一曲、お願いできませんか?」
     とびきりの甘い声、女の子の夢なのよ、と教えられた通りの所作を彼女のためだけに、溢れそうなほどの思いを込めて差し出せば、真っ赤になった立香は、僅かに震えながらもゆっくりと差し出された手に応じる。
     「こんなことなら、かわいい礼装を着ておくんだった」
     「そちらもじゅうぶん、お似合いですよ。恥ずかしがることはありません、此処には私と貴女し かいないのですから」
     衣装よりも、耳まで真っ赤になった少女と女性の合間の瑞々しい肌やこぼれ落ちてしまいそうなほどに潤った琥珀の瞳、その何も隠されていないありのままの反応こそがなににも負けない輝きを放っている。そう告げればきっと彼女は踊るどころではなくなってしまうだろう、アルジュナは言葉を飲み込んで、どこかたどたどしい彼女をエスコートする。
     曲に合わせて動く、ひとつに重なる影。大きい方の足取りは軽く、風に浮かぶように。
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