「お前はゴミ溜め育ちのハイエナで、俺は永遠に王になれない嫌われ者の第二王子!なにをしようが、それが覆ることは絶対にねぇ!」
「…………オレたちで世界をひっくり返そう、か」
今にして思えば、とんだ子供騙しの幻想だ。世界をひっくり返すことなんてできやしないし、魔法は全てを叶える万能の力ではない。そんなことは幼い頃に嫌と言うほど学んだはずなのに、それでもレオナの甘言に乗せられたのは、彼の王にはそれを成し遂げるだけの力があると思ったからである。乗せられたのではなく自分の意志で乗ったまで。ラギーはあの日、優勝旗を空高くかかげるレオナの横にいるはずだった。
今でもたまに思い浮かべることがあるのだ。天にも届く歓声が全て自分たちに与えられたものであればよかったのに、と。仲間達の笑い声と、祝杯の宴を。夕陽が地平線の果てまで赤く染め上げる、サバンナの端から端まで全てがラギーたちのものであればよかったのに――と。
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