巨人たちの夜会 日付が変わったころ、広すぎるマンションのリビングでスミスは一人でソファーに腰掛けていた。ガラスのテーブルには買ったばかりのヒーローグッズが無造作に散らばっている。まだ水滴が滴る髪をタオルで乱暴に拭きながら鼻歌混じりで片手でスマホを操作する。
「イサミはもう寝てしまったかな」
おやすみのメッセージは既読がつく気配はない。今日は流石に疲れてしまったのだろうか。彼の安らかな寝顔を想像して頬が緩む。
ピピピピ……
ペットボトルの蓋を捻ったその時、テーブルの上に放置していたスマホが着信音と共に震える。まさかイサミ?と一瞬高鳴った心は画面の表示を見て急降下で沈んでいく。これから起きる面倒を想像するとこのまま放置でもいいのだが、着信音で子ども部屋のお姫様が起きてしまってはいけない。スミスは面倒くさいと溜め息を吐きながら電話に出た。
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