心中デイト 大解散の折、裏切り事件を起こした獅子堂がどこかに連れて行かれてから、半年ほどが経った。渡瀬組という居場所を失った俺は、手元に残った金で細々と暮らしていた。そんなところに花輪という男が現れ、大道寺で管理者として働かないか、と誘われた。誘われたと言えば聞こえはいいが、バックにいるのは大道寺。つまり、実質俺に拒否権はない。曰く、あの件以来獅子堂はエージェントとして働いているらしいが、どうにも仕事に反抗的なため、俺に管理してほしいらしい。最初はあの事件が終わったあとで、もう一度獅子堂に会うことが怖かった。恨んでいると思った。しかし、俺のそんな予想に反して、エージェントと管理者として再会した獅子堂は、昔のように俺の指示に従い、仕事をこなし、エージェントとしての信頼を取り戻していった。一度、なぜ俺を呼んだのか聞いたことがある。返って来た言葉は単純なもので、俺が従うべき人は、今も昔もカシラだけです、と言った。
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