地獄への誘い「あなたを地獄に落としたいな」
目の前の彼はそんなことを口にした。
私は算文高校に通う一年生の女子である。委員会の先輩である天使ヶ原先輩にバイトを紹介してもらって、キュバクラで時々バイトをしている。天使ヶ原先輩はここのナンバーワンキュバ嬢らしいけれど、彼女の清廉潔白なイメージとは少しかけ離れるなあ、と思っていた。
「ナギサちゃん、今日は大物のお客様が来店するノ。てしちゃんの紹介だから、アナタにはヘルプについてもらうワ。本指名はてしちゃんだから、あんまり気負わずに、かといって気を抜きすぎないように。アナタも、この機会に昇進を狙うのヨ!」
「は、はあ……私なんかにできるかなあ」
「こういうのはできるできない、じゃなくて、やるやらない、ヨ。期待してるワ」
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