何方 進捗2 尾形百之助、二十一歳、大学三年生。茨城の実家を出て、都内のアパートを借りて大学へ通っている。大学自体は実家から通学することができる。少々息子に対して過保護な両親と弟は、尾形が実家を出て一人で暮らすことに反対をした。実家から大学に通うの不便なこともあるが、楽な面もある。
『百が心配なのよ』
母親は進学を機に一人暮らしをしたいと訴える尾形に涙ながらに反対をした。
『別にここで生活をしながらでも問題はないだろ』
自分と目がそっくりな父親は悲し気な顔をしていて、自分が泣きそうになるとあんな感じなのかと尾形は人ごとのように思っていた。
『兄さんと離れたくない』
ぐずぐずと泣きながら尾形の意志を否定する弟に少しだけ苛立ちを覚えた。
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