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    書き始めたけれどうまく調理が出来なかったので、正史として扱わず没になるもの。いつか彼らの話はちゃんと書いてやりたいものです。

    無題ある朝、ストライクマンが気がかりな夢から目覚めたとき、自分がベッドの上で一つの巨大な野球ボールになってしまっているのに気がついた。

    「はい、電圧安定してるね。暴れられると困るから手足は取ってあるけど気にしないで」
    「……!?……なん……何?どこ?」

    ストライクマンがアイカメラの可動領域限界まで動かして現状把握に努めると、どうやらここは狭いアパートの一室のようで、部屋の隅に死体のように自分の両腕と両脚が放られていて、目の前には見覚えのない誰かが立っていた。
    彼は一見羊に見える。顔が黒くて角が巻いている可愛らしい羊に似た彼は、ヒトに似た脚で二足歩行をしていたし、ヒトに似た腕でラップトップをいじっていたし、何より背中のあたりから見るからにメカメカしい二本のアンテナが立っていた。それでようやく彼のことをロボットだと認識できる。
    ひと通りあたりを見回したストライクマンの様子を窺い、見慣れない羊型のロボットはもう一度声を掛けてきた。

    「そろそろ状況把握は済んだよね。僕のことは覚えてる?」
    「いや、すまん、知らんロボットだ。どっかで会ったのか?顔認識と記録に関しちゃ割と高性能のつもりなんだが」
    「ちっ、綺麗に消えてんな。……いいよ別に、気にしないで」

    舌打ちの音を出すのが妙に上手いそのロボットはシープマンと名乗った。名は体を表すな、と安直ながらに思う。つられて自分も自己紹介をしようとしたが、名前を言おうとした途端にシープマンは小さな手で制止のジェスチャーをした。

    「悪いね、僕はアンタをよく知ってる。ストライクマン、打球練習用の投球ロボット、感情プログラムが他機より繊細だから、……あー、感情の起伏が激しくて投げた球を打たれ続けると腹立たしくなる」
    「……本当によく知ってんだな」
    「一部界隈じゃ有名なんだぜ、打たれまくるのにキレて二軍打者の肩にストライク決めたって」
    「本当によく知ってんだな……」


    ********


    (この後奇妙な共同生活が始まったりシープマンがストライクマンの頭いじったりストライクマンが10事件時に何やったかとかシープマンが熱暴走して最初に出した被害は製造者の殺害でそれ以降はほとんど間接的被害しか出してない話とかをするつもりでした)


    ********


    (10事件時の記憶がストライクマンのあれこれに高負荷をかけてセーフティシステムが発動したりなんだり)

    ばつん、と急に何かが切れたような音がして、ストライクマンは停止した。

    「《深刻なエラーが発生しました。データ破損の恐れがあるため、再起動を行います。アナウンスに従って操作してください》」

    無機質なアナウンス音声は、彼のスピーカーから出るのに似つかわしくない女の声をしている。

    「くそッ、またダメなのかよ」
    「《マイナスドライバーを用いて後部ハッチを開けてください》」
    「うるせえな!黙れよ!」
    「《マイナスドライバーを用いて後部ハッチを開けてください》」
    「黙れよ……」
    「《アナウンスに従って操作してください。マイナスドライバーを用いて後部ハッチを開けてください》」


    シープマンは項垂れたまま硬直しているが、やがてずっと側に置いたままだったドライバーを手に取るだろう。
    まだ彼はこの作業を繰り返すことに飽きていないのだから。



    ある朝、ストライクマンが気がかりな夢から目覚めたとき、自分がベッドの上で一つの巨大な野球ボールになってしまっているのに気がついた。
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