鋼鋏ファンタジー「ほら、ちゃんと成功するじゃないか無機物でも!」
そんな声を聞いて、目を開けた。次いで、開ける目があることに戸惑った。
新造の視界が濁流のように情報を取り込んでいくのに眩暈を覚えて、眩暈を覚えることにさえ驚く。
先ほどの声の主はどうやらすぐそばに立つ男らしい。
「しかしなんで子供の姿なんだろう。ずいぶん古びた枝切鋏だったから老人になるかと思ったんだが……」
首を傾げているその男は、顔の大半を布で覆っていて目元しか見ることができない。多分服装からして[[rb:魔術師 > ソーサラー]]だ、なんでそんなことがわかるのかはわからないが。
……ところで、なんだか体の真ん中がぐうっとへこんでいくような。
「……あっ!? もしかして息の仕方を知らないのか!?」
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