0から100まで全部君 最近、パシオが騒がしい。
パシオで事件が起きると、大人達から頼られ、駆り出されているのは新米トレーナーのケイだ。そんな様子を、かつての自分を見るように懐かしく眺め、レッドは帽子を深く被り直した。
「流石に、この件にサカキは絡んでないんじゃないか?」
帽子のツバの下で、辺りを警戒するレッドの視線に気付いたのは、幼馴染みのグリーンだ。
「うん、でも」
レッドは頭を振って、言葉を続ける。
「パシオで起きる事件の中心は、いつもサカキだから」
ああそうかよ、と呆れたようにグリーンが肩を竦めた。お熱いこって、という呟きは、聞かなかったことにして。
(了)
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