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    rikotta1230

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    rikotta1230

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    岳遥の甘くならなかったやつです

    #岳遥
    yueYao

    バレンタインにぎこちない花束をバレンタインを目前とした休日の朝から大内と入縄の同居している家へと、岳と遥が遊びにきてすぐから1時間ほど大内と岳はリビングのソファに隣同士に座り雑誌を数冊広げて話し込んでいた。
    せっかくの休日に自分をほおって夢中になってチョコレート談義をする2人…いや、恋人にもやった入縄は大内の後から抱きつくとさり気なく距離の近い2人を離しながらつまらなそうに声をかけた

    「楽しそうですねぇ…」

    その声に気づけば大内は手を止めて返事をしようとするが先に岳が口を開き

    「楽しいっすよ!兄ちゃんもどうっすか?」

    と無邪気に答えるが入縄は緩く首を横へとふり興味無さそうにじとりとした目付きで大内の頭へと顎を乗せて

    「いえ、別にそれに関しては良いですぅ…。どうせ、薫サンは別の人達からいただくでしょうし」

    そんな皮肉混じりの言葉を伝えれば、すぐ下の大内が苦笑しつつ自身を抱きしめる腕へと軽く指でつつき

    「本命っぽいのは断ってるって言ってるだろ?楝のチョコ、俺は欲しいけどなぁ」

    本心を伝えるが入縄には響かないのかつつく手をペシペシと猫のように払った後に、また抱き枕にするように抱きしめ居心地のいい箇所を見つけてそこに居座り、その流れをまるで空気のように扱われていた遥は苦笑いをしながら眺めていると、ふと出された紅茶を手に取ろうと手を伸ばした時に岳の方を見れば何かに釘付けになっていることに気が付き、お目当てのチョコレートでも見つけたのだろうかと目線の先へと目をやれば

    【手作りは重い!?男性に聞いてみた今年間違えない贈り物】

    という特集を真剣に読んでいるらしい。
    何時もの雰囲気からして自意識過剰ではなく確実に遥にも渡すであろう男のこれからの行動を予想してため息を着く。
    以前からたまにではあるが見え隠れしていた自己肯定感の低さや他人に左右される岳の事だ、こんなその他大勢の意見を真に受けるであろう…事は簡単に浮かぶ

    「気持ちが籠ってたら、どんなチョコでも喜ぶと思うけどな…特に、岳の作ったものは美味いし」

    紅茶を飲みながらあくまで一般論のように言葉を並べれば、こちらを向く岳へと伝えるとじっと目線を逸らさないようにすれば、へらりと少し頼りない笑みを浮かべて

    「遥兄ちゃんにはなんでもお見通しっすね…。チョコって色んな種類があるから迷いますよねぇ」

    と緩く呟きながらそのページを捲り別のページを見る、前のページに手作りを否定するようなことを書いておきながらその雑誌は初心者でも簡単に作れるチョコレート菓子のレシピが書いてある。
    その後は、大内が好みのチョコを熱弁したり脱線してゲームをしたりと楽しく過ごしてその話はそれっきりで終わった。

    そして、2日後のバレンタインデー遥は職場が一緒なのに外で待ち合わせをした方がデートっぽいという理由だけで、待ち合わせ場所へと移動していた。
    結果としては岳が取引先から直帰になる形になった為良かったが、意味があるのかと溜息をつきつつも年下の微妙な関係の相手とのデートの待ち合わせに悪い気はせずに待ち合わせ場所へと足を運んでいたが、聞き覚えのある声が聞こえたと同時に後から抱きしめられる感覚に陥った

    「はーるか、今帰りか?」

    その声の主は大内達との共通の知り合いの榴で、何故か遥を気に入ってる1人なので偶然会ったりしたら絡んでくる。
    ちなみに、榴という名は源氏名らしく本名は知らない。大内に聞いても大内も知らないらしい

    「榴、いきなり抱きつくなよ驚くだろ?」

    大きな溜息と共に振り払おうと軽く抱きつく腕を叩けば大人しく手を離す榴は、それについて特に何も言わずに

    「まあまあ、それよりさー岳からのチョコ食った?」

    と話をずらされ直す気は無いのだと察するのは容易く、またため息ばかりが増えていく。幸福が逃げると聞いた事があるがこの人物と会って何回減ったのだろうか

    「いや、食べてないけどどうかしたのか?」

    もう諦め相手の話に乗っかることにした。どうせ、美味しかったとかそういう話だろう…この男たちは妙に岳に甘いのもあるが岳は昔修行をしたと言っていたのに似つかわしく料理方面は得意としてる

    「いやー驚いたなって、美味いには美味いんだけどさ…なんつーか、今年も手作りかと思ってたから…忙しかったんかな?」

    少しガッカリしたような口調の榴が手に持ってるのはよくコンビニなどに売っている駄菓子を詰め合わせた、みんな大好きなテーマパークのキャラクターが描かれた可愛らしい透明の袋だった。
    子供にハロウィンで渡すような形のそれは今までに無く、兄貴分達を慕う岳にしては珍しい渡し方で驚いてしまった。

    「そう…ですね。確かに意外です」

    呆気に取られそれしか言葉が出ず、2日前何を作ろうか楽しげに迷ってた彼らしくないソレにその話は伏せた。
    榴と別れた後もそれについて考えていたが、一瞬眺めていたアノ特集を思い出した。
    やはりアレを気にしてしまったのか?だとしても一瞬で終わった話だそんなにも気にする事だろうか?疑問符ばかり浮かびながら約束の場所へとたどり着いた

    「あ、遥兄ちゃん!お疲れ様っす!」

    遥を見つけた途端に弾けんばかりの笑顔を振りまきしっぽがもし着いていたら左右にブンブンと大きく振っているであろうその姿に、呆れながらも悪い気はしないと近づけば岳の格好の違いに気づいた。
    いつもの営業スーツに身を包んでいたはずの男は、1回着替えたらしく着心地の良さそうなグレーのバンドカラーシャツに少しカジュアルダウンされた華やかなジャケットを合わせて、如何にも気合いの入った格好をしており少し緊張してしまう

    「その格好どうしたんだ?」

    率直に聞けばそれに気づいて貰えた岳は更に嬉しそう顔を弛めて遥の手を握りうっとりとそのまま目を細めた

    「兄ちゃんと年に一度の大事な日のデート出来るから気合い入っちゃいました!でも、行先はいつものBARっすよ」

    ドレスコードは無いと言外で伝えれば手を握ったまま歩き出せば振り払おうとしたものの、視界にチラチラと黒に銀の縁取りをされた紙袋とそこから薔薇の花が覗いてるのが目に入る。
    大内から聞いたのかと言うほどベタなそれに振り払う気も失い着いていけば言われた通りいつものBARだったが、カウンターではなく申し訳程度に棚で区切られた半個室のような場所に通された。きっと予約までしたのだろう
    そこへと座りいつもの注文を終えて品が来るまでの僅かな時間にもソワソワとする岳に苦笑してしまう。
    特にどちらも話出さずに時間がたち注文の品を受け取れば、一口飲んでから岳がバラの花が1本と青のカーネーションが1本という少し寂しい花束を渡された

    「あ、あの!兄ちゃん!これ、どうぞ!」

    ただ、言葉はどもり過ぎて煩く店内に響き顔も真っ赤なその姿にツッコミも追いつかない。
    何かを口にする前に、もう1つ榴から見せられた可愛らしい袋とは違い一目で本命だと分かる上等な箱を可愛らしい緑のリボンが巻かれ赤いクマのシーリングスタンプが押されていた。

    「な、中は、俺が作ったやつっすけど、味見はしたので!」

    それらが机の上に出された岳の手に乗せられており、もう一度岳の方へと目をやれば緊張しているのか何時もの明るい犬のような笑顔はなく眉を下げ熱っぽい潤んだ瞳で遥を見つめつつも、自信なさげに手は震え首元まで真っ赤だ。
    まるで告白をされているかのようなその姿にこくりと遥をが喉を鳴らせば、待つ時間すら惜しいと言わんばかりに

    「あ、あのっ!いつも、お世話になってて遥兄ちゃんは本当に兄ちゃんみたいで大好きで!その、これからも仲良くして欲しいっす!俺と一緒にいてください、先輩!」

    とまあ、ある新喜劇なら誰もがずっこけてしまいそうなその内容に苦笑しか出てこない…

    それを手に取るかは……別の話である。



    青のカーネーション→永遠の幸福
    一輪の薔薇→ひとめぼれ、あなたしか居ない

    兄ちゃん……大好きで唯一の人……いつもありがとうございます。



    【読んでも読まなくてもいいネタ】
    雑誌の内容→本命じゃ無かったら重いというもので、逆に義理にも手作りを作ってしまうと本命だと分かりにくく疑われる可能性もあるという内容が書いてあった。

    花言葉→本当はチョコで意味を持たせたかったが見つからずに自分なりに調べた。組み合わせ等はよく分からずに花屋さんで「青のカーネーションと赤のバラ1本ずつ可愛くしてください!」と伝えた。大内は関与してない(自分の事で大忙し)

    義理チョコ→遥くん以外のは適当に薬局で買った大袋のやつをつめつめしました。大内には多めにしたので大好評でそれはそれで腹たった。

    本命チョコ→アソートチョコのようなものを作った2つの焼き菓子(チョコ、ホワイトチョコ)ミルク、ビター、ホワイト、抹茶のボンボンショコラが入っている。中にはHappyValentinと、少し綴りを間違えたカードも入ってる。
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